お調子者の小岩くん

※※※

ー5年後ー

あの時のクラスから、結婚するカップルが出た
小岩くんの親友の市川くんと、高3のクラスで一番可愛かった阿佐ヶ谷さんだ

平井先生も、クラスメート全員も結婚式に招待された

「また小岩くんが出てきたらどうする？」
そんな風にいう者もいたが、
「もう5年も経ったし成仏してるから大丈夫よ、いくら何でも5年も経ったら、あんな風にハッキリとは出て来れないよ、多分」
と霊感の強い四ツ谷さんは言っていた

「それにしても、あの白装束の小岩くんにはビックリしたね！まるで昔のコントのようだったね」

今では、あの時の出来事は笑い話になっている

※※※

ー結婚式当日ー

実に天気の良い日だった

市川くんの話だと、阿佐ヶ谷さんと2人で小岩くんの墓参りに行き、結婚の報告と、「出てこないでね」のお願いをしたそうだ

参列者は大勢いた
式場と料理に金をかけたからと、二人ともお色直しは無しで、最後まで白のフロック・コートとウェディングドレスで通すと言っていた

結婚式は時間通り、お昼に始まり、滞りなく進んでいった

平井先生がスピーチをし、クラスの代表として数人が歌を歌い、大久保くんが手品をした

最後に新郎新婦がそれぞれの両親に書いた手紙を読んだ

感動的な涙とともに花束が両親へ贈られて、参列者全員が盛大な拍手をした

パチパチパチパチ…
パチパチパチパチ…

パパパパパパパパ…
（うん？）
皆の拍手の音に交ざり、パパパパパパパパ…とやけに早く手を打つような音がした

異変に気づいて振り向けば、見知らぬ男性がポツンと一人で後方にいて、信じられない程の速さで拍手をしている

誰？さっきまでいなかったような？
突然出てきた？

「え…あっ！」