ついていっても･･･

大山は局に戻り、森田さんのテープを処分した。
「どこか･･･そうどこか遠くに行ってしまった。みんな私が悪いんです。みんな･･全部私が悪いんです」
悲しみに満ちた目で懐かしそうに写真を眺めながらそう呟いた彼の姿が脳裏に浮かんだという。

「思うんだけど、よく自殺すると自縛霊になって成仏できないとかいうでしょ。これ森田さんにも言えることなのかもね。だから彼は家族の下には行けないのかもしれない。自殺をしたって聞いてさ、死ぬことないだろって思ったよ。でもさ、一人生き続けるのも地獄だよな。死んでも地獄、生きていても地獄ならどっちを選ぶかなって。俺が撮ったのはそんな地獄の一つなのかもね。そう考えると案外近くに地獄ってあるんじゃないかなって思ったよね。それで、森田さんが最後に言った一言。

“久々に人と話せて楽しかった。本当にありがとうございました。”

もしそう思ってくれたなら、俺は嬉しいよ本当に。いつか彼が救われる日が来ることを俺は祈らざるを得ないよね」
大山はその話をそう締めくくった。