予想はしてた。
いたんだよ、やっぱり。窓の縁に座る、フランス人形が。
引き返してもどうせいる。ならこいつを無視して窓を突き破る他ない。
月明りが逆光で、フランス人形の顔は見えなかったが、
ふっと月が雲に隠れたようで、顔が見えちまった。
満面の笑みで、真っ赤な目で、こっちを見てる。
動くわけないのに、首がカタカタと揺れる。
Aが、懐中電灯を窓に向かって投げた。
パリン!!!と大きな音を立て、窓が割れる。
フランス人形は意に介さず、
「行くぞ!!!」と窓から飛び降りた。
俺たちも後に続く。
A、B、俺は何とか外に出た。
ガラスの破片と落下の衝撃で、みんなどこかしら怪我をしていた。
俺は足にガラス片が刺さり、身動きが取れなかった。
そんなことより、Cが出てこない。
「C!!びびってねえで降りてこい!!」
Aが叫ぶ。
反応はない。
内側を見ていたはずのフランス人形は、
逆側に腰掛け俺たちをじっと睨んでいる。
その瞬間だった。
バタン!!!!と大きな音がしたかと思うと、
家中の窓という窓からフランス人形がこちらを覗き込んでいた。
風の音なのか、森が鳴いているのか、人形が言っているのか、
「うぅぅああぁぁああ・・・」という低い音が森中に響いていた。
Bはもう失禁してた。
Cは未だに反応がない。
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