実録!恐怖のキャンプ!村井さん危機一髪の巻
投稿者:とくのしん (65)
村井という名の女好きの同僚がいる。見た目はチャラいが決していい男ではない。だが、不思議と女が切れたことがない奴である。女にモテるために全てを捧げる男であり、女遊びだけがヤツのアイデンティティーといっても過言ではない。流行りモノへの飽くなき探求心、ブランド物で着飾り、週5日はジムで体を鍛える自己研鑽力。そんなザ・スケコマシが体験した世にも恐ろしかった話を本人に代わって語らせていただく。
村井はアウトドア好きな同僚たちと、とあるキャンプ場に訪れていた。内訳は男が4の女が3の計7人。村井はキャンプに興味なかったが、このうち参加者の1人がお気に入りということもあって参加したという。そのお気に入りを仮にアケミとする。
キャンプの話が持ち上がったのは2か月前、その後参加の意思表示をしてから村井はキャンプ道具を必死に揃え、YouTubeなどでキャンプのいろはを学んだそうだ。
「アケミちゃんに良いところ見せたい」
その一心で、夏のボーナスの大半をキャンプ道具に費やしたというのだから驚きだ。何度かキャンプの練習に付き合わされたが、そこでは大した話はないので割愛する。
話の舞台となるキャンプ場は、渓谷の清流と緑豊かな自然に囲まれた人気スポット。比較的ファミリー層が多く、土日になると家族連れでごった返す。昼過ぎに到着したときには、既にいい場所の多くにテントが張られており場所取りに出遅れた感は否めない。目の前の川でたくさんの子供たちがはしゃぐ姿を横目に、テントを張れる場所を探し回るがこの時間ではいい場所は望めない。そんな折、キャンプ装備を抱えた面々はふと脇道を見つけた。
「この先にテント張れる場所がないか調べてくるよ」
メンバーの一人が脇道を進んでいった。待つこと20分、戻ってきた同僚はこの先に開けた場所があることを一同に伝えた。トイレやら水道といったキャンプ設備は遠くなるが、この際贅沢は言っていられない。一同はその先に向かった。
「ここ、いいじゃない!」
10分程歩いて着いた先は木々に囲われ、薄暗いものの静かで落ち着いた空間が広がっていた。近くを流れる沢のせせらぎ音と、鳥の鳴き声、そして風に揺れる木々が織りなす自然のオーケストラが非常に心地よい。穴場を見つけたと一同は喜んだ。
ビール片手にテント設営やらバーベキューの準備を終えた頃にはすっかりと夕暮れに差し掛かっていた。
カナカナカナカナ・・・・
ひぐらしの鳴き声に哀愁を感じる・・・といった情緒に浸るわけでもなくバーベキューを始めた面々は和気藹々と飲んで食って大騒ぎ。近くには他のキャンプ客がおらず気兼ねなく騒ぐことができたこともあって、飲めや歌えやのうどんちゃん騒ぎだったそうだ。
焚火が雰囲気を醸し出した頃には、あたりはすっかりと暗い闇に包まれている。時計の針は22時半を指していた。すると見計らったように男の一人が肝試しを提案。村井は待ってましたとばかりとばかりにそれに賛同する。
「肝試しはいいけどさ、ここって首つり自殺が多い場所なんでしょ。ネットで調べたらそんな話があった。ってかさ死体とかあったらどうすんの?」
空気の読めない同僚の発言により、女性陣が総じて肝試しを却下し始めた。村井はぶん殴ってやろうかと思ったが、アケミの手前握った拳を静かに下ろすことにした。
仕方なくその日は男女別れてそれぞれのテントで寝ることにした。酔いも程よく回っていたこともあり、すんなりと寝つけたという。
午前2時過ぎ、尿意で村井は目が覚めてしまう。飲み過ぎたなぁと思いながらトイレに向かうためテントを這い出した。テントから出ると誰かが外にいるのが見えた。木々の隙間から入り込む月明りに照らされた背格好からアケミだと村井は直感。少し遠目だが、白いTシャツにショーパン、服装からも本人と見受けられた。
「アケミちゃんもトイレかな?」
アケミは何かを探すようにうろついたあと、トイレがあるキャンプ場とは逆方向へ歩いていく。こんな夜更けにどこに行くのか・・・と村井は少し考えてみた。
「あ、なるほど~アケミちゃんしょうがないな(笑)」
村井はニヤつきながらアケミの後を追った。村田の想像はこうだ。
アケミも自分と同じくトイレで目が覚めた。だが、この暗い夜道を1人で10分かけてキャンプ場入口のトイレまで行く勇気がない。とすればそのあたりの茂みでするしかないわけで・・・
夢と希望と妄想と、股間を膨らませながら村井は忍び足でアケミを追った。アケミは立ち止まり、キョロキョロと辺りを見回したあと道から逸れた。枝を踏みしめる音を立てながら、道なき道を進んでいく。その様子を遠目で見ながら村井は興奮していた。
「お前なぁ・・・覗きが趣味になったとは思わなかったぞ」
村井の語りを聞きながら俺は呆れて横ヤリを入れた。
「まぁ待て!男なら誰でもあの状況ならそうするって!というかここからが怖いところなんだから最後まで聞け!」
村井が顔を赤くして興奮気味に話を続ける。
アケミは辺りを見回しながら何かを探している様子だった。誰もいないのだから早くパンツ下ろせと、村井はもどかしさを全開に木陰から覗いていた。しかし、待てど暮らせどアケミはその場を行ったり来たりしているだけ。もしかしてトイレじゃなくて探し物かな?懐中電灯も持たずに何かを探している様子に疑問を感じつつも、業を煮やした村井は思い切って声をかけることにした。
「アケミちゃん、どうかした?」
その声に一瞬ビクッと動きを止めたアケミがこちらに視線を移す。村井は倒木などで転ばないよう慎重な足取りでにアケミに近づいた。
kamaです。大好きですこーゆー話。夏にちょうどいいタイトルだし!!好き!
オチがないのがリアル
久しぶりに「スケコマシ」という言葉を見つけました。
>kamaさん
コメントありがとうございます。
話も気に入っていただけたようでうれしいです!
話下手の友人の体験談なので、聞いたときは笑っちゃいましたが、少し脚色して怖さを増し増しにしておきました(笑)
これからもどうぞよろしくお願いします。
タヌと申します。タイトルの軽妙さと本文の薄気味悪さのミスマッチがいいですね、、、楽しく読めました。
とりあえずタイトルには「さん」付けなんですね。
怖い体験しても懲りずにまたナンパする村井本人が一番怖い。投稿者様も同感ですかね?
>タヌさん
感想ありがとうございます。
>とりあえずタイトルには「さん」付けなんですね。
敬意を込めて「さん」付けにしました。
>怖い体験しても懲りずにまたナンパする村井本人が一番怖い。投稿者様も同感ですかね?
村井さんの女性対する執着心は確かに怖いものがありますね(笑)
村井だったり村田だったり、うどんちゃん騒ぎだったり面白かった
うどんちゃん騒ぎ
村井の語りを聞いてるのではなく、過去に聞いた話をかわりに語っている設定なのに唐突に入る村井と語り部の会話
ここら辺が気になって笑いしか出てこなかった
うどんちゃん騒ぎのせいでホラーどこじゃなくなった