橋の上に立つ女の子
投稿者:ヒヤヤッコゾウ (1)
女の子は、市松人形かなと思うくらい髪の毛はおかっぱストレートで綺麗でした。
顔も彫りが深く目が大きくとても綺麗な子でした。
子供なのに大人みたいな顔立ちで、本当に美人という言葉が一番しっくりくるくらいです。
車が近づくにつれ、こちらを眩しそうに見ていて(睨んでいるようにも見えました)車が近づいても後ろに下がろうともしません。
むしろ、近づいてくるのです。
まるで、車を歓迎しているようにも見えました。
しかし、私は幼いながら「こんな時間にこんなところに一人で?街頭も一つもないのに、なんかこの子おかしいな」と感じていました。
近くに家があるとしても、祖母の実家くらいです。
「私と同い年くらいの子がここに一人で取り残されたら、怖いだろうな」とか「もし、祖母の知り合いだったら、分かるはずだよね?」とか、「迷子の子かな?」なんて呑気に考えていましたが、女の子からは怒りのようなただならぬ空気が漂っていました。
祖母も何も言わず、ゆっくり橋の上を通っていったので、私は祖母の異様な対応と女の子の不気味さで、女の子を無視することしかできません。
橋を通っている間、女の子は乗せて欲しいのか車にもたれかかるように、背伸びをして覗き込んでくるのです。
目は、大きく白眼が剥き出しになるほどで、一生懸命に車の中をチェックしている様子が恐怖でしかありませんでした。
必死な形相になればなるほど、怖さがましていきました。
運が悪かったのか、その女の子が覗き込む側が私の席だったので、私は怖くて、姉にしがみきもたれかかっていましたが、「こっちに来んな!」と怒られましたが、そんなことよりも私は頭を抱え、女の子と目を合わせないようにするので精一杯でした。
しばらくすると祖母のアクセル音で、橋を無事通り抜けたことを確認できましたが、なぜか女の子がつけてきているように感じ、後ろを見る勇気もなく、家に到着するまで、女の子を見ないように目を瞑り大人しくしていました。
みんなが家について「橋怖かったね〜!」と話をしていたので、私は「うん、本当に怖かった!あの子ちゃんと家帰れたかな?」と言うと、みんなキョトンとした顔をしていて、「何のこと?」と言った様子でした。
私は女の子のことを全て話すと、みんなは女の子なんて見てないらしいのです。
怖い怖いとみんなが騒いでいたのは、いつもより橋が見えないほど暗かったからだそう。
もちろん、祖母も「女の子なんて見ていない。見ていたら、警察に連れて行くよ」と笑っていたので、きっとあの子はこの世のものではなかったんだと、この時気づきました。
子供らしくない怒りに満ちた目や雰囲気は、確かに異様だったなと今でも思います。
何十年経った今でもあの覗き込む目が今でも私の頭にこびりついています。
今は、あの橋も取り壊され、綺麗に道ができ安全になりましたが、あの子は一体誰だったのでしょうか?
大人になった今でも不思議で気になり「近くで事件があったのか誘拐があったのか?」と気になり調べていますが、一つもそのような情報はありませんでした。
彼女が成仏していることを願うばかりです。
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