路上駐車はいけません
投稿者:もものこ (1)
10年ほど前のお話です。
仕事で長距離トラックの運転手をしていた私は、その日荷物を積み込んで、夜に大阪を出発しました。
朝の8時に現場に配達だったのですが、他県の海の近くの倉庫が目的地で、いつも早めに現場近くまで行き、トラックの中で仮眠をとるのが日常となってました。
その日も夜中の3時頃に現場から車で数十分離れた少し路肩が広めの道路沿いで、コンビニで買った食料を嗜みながら仮眠をとろうと思って車を停めました。
そこは夜中になると、車の通行はまばらで、ものすごく静かな場所でした。
エンジンを停め、自前のラジカセでラジオを聴きながら、そろそろ寝ようかなと思い、ウトウトしかけたところでラジオの音声が途切れ途切れになったり、急に大きな音でザーザーと雑音が響いたりしたので、少し驚きもありウトウトしかけていたものの、落ち着かずいつになく寝苦しさを感じておりました。
しかしながら、次の日も早く起きなければならないため、ラジカセの電源を切り、無理矢理にでも寝ようと座席を後ろに倒し目を瞑り再びウトウトしかけた時のことでした。
けたたましいエンジン音とブレーキの音が自分のトラックのすぐ後ろで聞こえ、サイドミラーから、明らかにハイビームの光が目に飛び込んできました。
車種は分かりませんが、どこかの若者でしょうか。
わざわざ嫌がらせのように自分のトラックの後ろに車を停められ、ハイビームまでされて、寝れたものではありません。
注意をしようかとも思いましたが、自分自身も路上駐車をしていることもあり、しばらく様子を見て、そのうちどこかへいくだろう。と考え、そのまままた眠ろうとしました。
しばらく経って、どこかへ行くどころか、大きな声でこちらを威圧するように話す若い男性複数名の声が聞こえ、とてもじゃないが寝れる状況ではありませんでした。
その間もサイドミラー越しにハイビームの光が入り込んでくるものですから、さすがに腹が立ち、場所を変えようとトラックのエンジンをかけたときのことでした。
パッとハイビームの光が消えて、うるさい話し声も全く聞こえなくなり、サイドミラーはただただ暗闇を映すだけでした。
私のトラックを追い越して走って行った車など一台もありませんでしたし。Uターンをした形跡も全くありません。
しかしさっきまでそこにあった、サイドミラーに映っていたハイビームの車がいないのです。
咄嗟に外に出て確かめようと思い、車の後方まで確認しに行きました。
やはり車の痕跡はありませんでした。
その後左側の後輪を見て、ハッとしました。
左側の後輪で供えられた献花の瓶を倒していたのでした。
もちろんその場で献花の瓶を立て直し、手を合わせその場を後にしましたが、今でも思い出すと背筋がこおります。
献花を立て直したのであれば大丈夫でしょう。
気付いたてよかったですね。