呪いのカラス
投稿者:ぴ (414)
私の家は昔から少し変でした。
親族すべて何か外からやってくるものに怯えている節があり、家からあまり出たがりませんでした。
それに家はなぜかものすごく分厚い壁でできているのです。
まるで何かから家を守るような分厚い壁で、その家もコンクリートで囲いこまれるように覆われており、父も母もずっと何かに怯えたように暮らしていました。
あるとき、家の近くの水辺で私は怪我をしたカラスを見つけたのです。
よたよたと歩いており、思わず手を差し伸べたくなりました。
しかし、私の父は私がカラスに近づこうとしたら、すごい声で叫んだのです。
私が驚いて泣きそうになるくらいにそれは大きな声でした。
その声に驚いたようにカラスも必死で空を飛んで逃げていきました。
そのときにいつも大人しい父に初めて思いっきり怒られたのです。
そして「カラスには近づくんじゃない」と何度も言って聞かされました。
母も震える手で私の手を繋いで、「絶対に近づかないでね」と大真面目な顔で言われてしまいました。
私は保育園には通いませんでした。
どうやら親が面倒を見ていたらしく、そのまま小学校から通うようになりました。
たまに外でカラスを見かけることはありましたが、私は父と母の言いつけを守り、極力カラスには近づかないように気を付けました。
友達と一緒に下校しているときに、空をカラスが何羽も飛んでいるのを見つけたことがあります。
私が慌ててカラスから隠れようとしたら、友達から「何?何?どうしたの?」と驚かれました。
私がカラスは危ないからというと、友達は全然危なくないよと笑っていました。
その時に初めてカラスを怖がるのはうちの親族だけだと知ったのです。
私はその後、両親に聞いてみたのですが、なかなか口を割って話してはくれませんでした。
けれど私がしつこく尋ねるとご先祖様の話をしてくれたのです。
それは大昔私たちの先祖が結んだ契約の話でした。
私の先祖は血を流して死にそうになったときに、死にそうな自分に近づいてきたカラスに命を助けてくれと頼んだらしいです。
するとそのカラスはご先祖の指を咥えて、代わりのものがほしいと言ったのだそうです。
こうして死にかけていたご先祖様の命は助かったけど、代わりに両手の指をすべて失くしたと言いました。
それだけで終われば良かったのですが、ご先祖様の子供の一人がある日カラスに飛び掛かられて目玉を食われたといいます。
失明して目が見えなくなり、それを苦に自殺したそうです。
それからというものその親族はことあるごとにカラスに襲われて、酷い目にあってきたらしいのです。
その話を聞いたときは怖かったけど、なんだその作り話と信じていませんでした。
実際にその被害にはあっていなかったからです。
カラスって良く見ると可愛いけどね
真っ黒だからみんな気味悪く思ってるけど