私が友達と待ち合わせしているときでした。
噴水の前で待ち合わせをしていたのですが、そこは私以外にも待ち合わせしている男女がチラホラいたのです。
その中でひと際目立つ女の子がいて、私はチラチラ見ていました。
まるで芸能人のようにあまりに顔が整っている女の子で、私は誰と待ち合わせなんだろうと気になっていました。
チラ見していたら、その女の子が急に顔を上げて立ち上がったのです。
その子の視線の先には30代くらいの堅いスーツを着た男性が歩いていて、その女の子はその人の方へ一直線に歩いていきました。
どういう関係なんだろうと、私はチラチラ様子を見ていたのですが、顎が外れるかと思いました。
だって手を挙げた女の子の体をスーツの男の人がすり抜けていったからです。
ぎょっとしました。普通ならあり得ないことが目の前で起こり、信じられませんでした。
女の子は慌てて突き抜けていった男の人を追いかけていきましたが、よく見たら女の子の体に背景が透けて見えたのです。
最初で最後というくらいにはっきり見た幽霊でした。
私が驚く間もなく、その女の子はスーツの人を追いかけ、去っていきました。
あのとき、口が開いて塞がらないという現象をリアルに体験しました。
きっとあのスーツの人は生きている人で、死んだ彼女のことが見えなかったのでしょう。
少しも立ち止まらず、足早に歩いて行きました。
あの二人がどういう関係なのかは分からなかったけど、あまりに衝撃的なものを見て、私はその後の記憶が定かではありません。
その後は友達とどこへ行ったかもどんな会話をしたかも記憶になく、あの出来事は今も脳裏にしっかり残っています。
幽霊も待ち合わせとかするのか、とあの日初めて思いました。
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