友達が送ってきた廃墟巡りの動画
投稿者:N (13)
最初のリビングのカーテンもポイントの一つに違いない。
つまり、俺はここまででリビングと和室で二つのドッキリポイントに気が付いているという事だ。
作りものだと分かればさほど怖くない。
全部でいくつあるか分からないが、なるだけ全部見つけてやるという意地で俺は最後まで視聴する事に決めた。
和室を出たAは一度階段をスルーし、廊下の先にあった洗面脱衣所にやってくる。
昔ながらの一面タイル張りの壁や床。
そのタイルはほとんど剥がれ落ちていて、コンクリートブロックみたいな塊や粉が床に重なっていた。
洗面所の鏡は幾つかの亀裂が入ってて、蛇口周りは錆で固まっているようだった。
よく見かける素材不明のステンレスみたいな浴槽も錆びてるが、風呂場には何故かコタツが立て掛けられてた。
平成初期くらいに見かけた滅茶苦茶熱くなる網と熱源の奴。
『やべ、懐かしいわ』
俺も懐かしいと思ってたら動画内のAも同じ感想を漏らしてた。
そして、Aが風呂場を出て一度洗面所を映して廊下へ戻ろうとした際、俺は三つ目のドッキリポイントを見つけた。
亀裂の入った洗面台の鏡。
鏡に映ったAの背後に重なるように誰かが居た。
ほぼ重なってて一瞬Aがブレてるように見えたが、よく見れば顔の輪郭とか服の膨らみとかで誰かが重なってるのが分かった。
Aが振り返ると後ろに誰も立ってなかった。
リハーサルでもやってたのかというほどスムーズだ。
Aが洗面脱衣所側から廊下を映すと、正面に玄関、左手にリビングの入口があって右手側に折り返して階段と和室の入口があるんだが、リビング側と和室側から一瞬だけ人の顔が覗き込んでてちょっと笑いそうになった。
ただカメラのピントが合う前にスッと引っ込んだのではっきりとは追いきれなかったが、こういうのは心霊動画でよくあるパターンだ。
きっとそういうドッキリを仕掛けてくると思って注視していた俺に見逃しは無い。
そして分かったのがAと他に最低二人は撮影協力者がいる事だ。
Aは廊下を戻り、二階に向かう。
階段を踏み込む音は廊下より顕著だった。
いきなり階段を踏み抜いて一階に落ちたりしないよな、と別の意味でハラハラしていたが、難無く二階へたどり着くA。
二階は廊下を挟んで左右に部屋が一つずつあるようだ。
Aはまず左手側の部屋に入った。
ここも一階の和室と何ら変わり映えしないが、カーテンが引き千切られていて窓も解放されているせいか、外の景色が見える。
Aが一歩一歩窓辺に近づく度に、外が明るいせいで部屋の中を映すカメラが逆光によって非常に暗く塗り潰されていく。
そのまま二階の窓から半身で外の様子を一望するように映すと、Aは身を引くように数歩下がった。
その時、逆光で暗闇になった画面が部屋の様子をスーッと映すんだが、壁面に真っ黒な人の形が一緒に浮き上がって、思わず『うおおい!』と声が出た。
大作ですな
読みやすくて一気読みでした
12ページもあったから読むか迷ったけど読んでよかった
夜中に一気読み!面白かった!
想像してただけで心臓が早く波打つのがわかった。
長いのもあってか結構怖かったわ(笑)