友達が送ってきた廃墟巡りの動画
投稿者:N (13)
突然、友達(以降A)から変な動画が届いた。
どこかの森の中?みたいな場所にポツンと佇むAを収めた映像から始まる動画は、長さにして約十三分くらい。
Aは自撮り棒を使って撮影しており、やや高い画角から自分を被写体にして背景の森、そして大きく画角を動かしてどこかの廃墟らしき建物を映す。
『ちょっと怖いけど入ってみるわ』
僅かに緊張した口調の後、Aは木造なのか鉄筋なのか分からない黒ずんだ二階建ての一軒家の中に入っていった。
最初は「変な動画だなー」と思ってすぐ閉じようとしたが、Aが映り、A自身が廃墟巡りをする物珍しさに、俺はのめり込むようにして視聴を続けた。
玄関は腐ってるのかギィギィと音を立てながら押せば簡単に開く。
土間から既に土草や何かのゴミが散乱してて、とてもじゃないが素足で上がるのが躊躇われる汚さだったが、Aは土足で上がり込む。
床も腐ってるのか、Aが進む度にメキメキと音を鳴らして弛んでいるのが伝わってくるが、Aは気にする素振りもなく、手始めにリビングを映した。
遮光カーテンがかかっててほんのり暗いリビング。
家具なんかが置きっぱなしだがどれも引っ繰り返っていたり破損している状態で酷いものだ。
しかし、俺は窓辺の端、厚手のカーテンがこんもりと膨らんでいる事に気が付いた。
よく学校でカーテンに包んで遊んでいる奴がいるが、それと同じ感じで膨らんでた。
Aは気付かないのか?
何のリアクションもないまま、Aは踵を返して廊下に出ると、次に別の部屋に向かった。
次に向かった部屋は六畳ほどの和室で、ボロボロに引き裂かれた畳や引き出しが剥かれた箪笥がある。
ここはカーテンが全て閉じていたのでかなり薄暗い。
だからか、Aは用意していたライトで室内の細部を照らしていた。
どれだけの埃が溜まっているのやら、乱雑に放り出された衣服なんかは泥が跳ねたように汚らしい。
特に物珍しいものも無く、Aは和室を後にしようとした。
だが、Aが踵を返す際、カメラが上を向いて和室の天井から縁を跨いで廊下の天井へと切り替わる瞬間、開いてた和室の天袋の暗闇にスーッと人の顔らしきものが写り込んでるように見えた。
「うおっ!」
動画を見てた俺は思わず画面から遠ざかる。
今のは見間違いか?
よくあるドッキリ動画みたいでかなりビビったが、この時点で俺はある事を確信した。
これは『Aが作った絶叫系ドッキリ動画』だと。
いつだったか、ドッキリgifが流行った事がある。
何気ないシチュエーションの動画を見ていると突然蜘蛛が画面に飛んでくるとか、ホラー画像が浮き出すとか、そういうのが流行った。
Aもそういうのを偶に寄越してくることがあったから、久々にそういう系統の動画を発掘したのだろう。
それも自作だ。
大作ですな
読みやすくて一気読みでした
12ページもあったから読むか迷ったけど読んでよかった
夜中に一気読み!面白かった!
想像してただけで心臓が早く波打つのがわかった。
長いのもあってか結構怖かったわ(笑)