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心霊

リンキョウコさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

赤い帽子の女
短編 2023/03/15 15:45 912view

私には二人の娘がいます。

上の娘はいたって普通の娘で、幼い頃にも特に不思議なことが起きることはありませんでしたが、下の娘にはなにか霊感めいたものがあったのか、一緒にいると不思議な写真が撮れてしまったり空中で破裂音がするなど、私も不思議な体験をよくしていました。

これは、そんな下の娘が幼い頃に体験した話です。

当時、私たちは古ぼけた公営団地に4人で住んでいました。

夏は暑く冬は凍えるように寒い部屋でしたが、当時の我が家は裕福とは言い難く、エアコンどころか扇風機すらもなく、あったのは小さなストーブと人からもらったホットカーペットだけという生活でした。

そんな扇風機もない我が家での夏の日の娘達の楽しみは、お風呂場での水遊びでした。

あるうだるように暑い夏の午後のことです。
娘達はいつものようにお風呂場で水遊びをしていました。

お風呂場には、ベランダに面した磨りガラスの窓から明るい光が射し込んでいました。

娘達がお風呂場で水遊びをする間、私は娘達のきゃっきゃと水を掛け合うような楽しげな声を聞きながら、隣の台所で夕飯の下拵えをしていました。

すると「ママ~」と突然下の娘が私を呼ぶ声がしました。

なにか起きたのかと不安に思い、手を止めて急いでお風呂場に行ってみると、下の娘が不思議なことを言い始めました。

「ママ、さっき今ベランダにいた?」

なんの話だか分からず困惑しながらも、私はずっと台所にいたので
「ママ、ずっと台所にいたよ。ベランダには行ってないよ。」
と答えました。

すると下の娘は、「あれ?」というように、私以上に困惑したような顔をしました。

「なんで?」と聞くと…

「あねね、今ね、外を赤い帽子をかぶった女の人が通っていったの」。

当時の私は赤い帽子など持っていませんでしたし、その時は一歩もベランダにも出ていませんでした。

家には私と娘達しかいなかったので、誰かがベランダに出るようなこともありませんでした。

そして、台所とベランダは大きな掃き出し窓で繋がっており丸見えだったので、窓の外を誰かが通ったり何かが飛ぶようなことがあれば私が気付かないなんてことも考えられませんでした。

なにより、当時の我が家は4階に住んでおり、ベランダの外を人が通り抜けることも当然のように出来ませんでした。

誰かがベランダを通ることなど出来ないはずなのに、下の娘ははっきりと見たそうです。

下の娘が見た赤い帽子をかぶった女の人は、一体誰だったのでしょう?

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