「お父さん!!」
「・・・ありがとう・・・ベアトリーチェ・・・」
「お父さん!!私も!ありがとうお父さん!お父さん!大好き!!」
より子が叫ぶ声の中、光の粒子となって浄化していくダヴィデ。
「ふむ。悪魔までも浄化させるとは、さすが天使様。我が部隊に欲しい」
如月少佐がひとりつぶやく。
「それはなりません」
「冗談ですよ、神父。神の使いを我々がどうこうできるわけがありません」
担架で運ばれていく朽屋瑠子をみつけ、走り寄るより子。
「私も、私もついて行っていいですか、助けます!」
「ありがたい。天使のご加護があれば、お嬢さんもきっと早く回復することでしょう」
少佐は神父に目配せしながら
「それでは天使様もしばらく一緒に預からせていただきます。なぁに、すぐにお返しできますよ」
「より子クン、教会は再建しておく。危ないことがあったらすぐ知らせてくれたまえ」
「神父殿、ご心配なく。我が本部からも教会本部に筋は通しておきます。あぁ、それと、教会再建に我々も少しばかりご寄付をいたしましょう。・・・それでは」
踵を返して去って行く少佐。担架と共にクルマに乗り込むより子。気が付くと黒塗りの車が大勢撤収していく。いつのまにかこの学園と教会は大勢に取り囲まれて結界のような状況になっていたようだ。
ひとり残ったルーカ神父は1頭のガーゴイルを呼び出した。
「私の記憶を収めた十字架を持って、本国へ飛べ」
そう言ってソードに差し込んでいた十字架を取り出し、ガーゴイルへ渡した。
この十字架にルーカ神父の念が込められている。術者が手にすれば、今ここで起きた出来事が一瞬で伝わるようにできている。これも神父のクレヤボヤンス能力の応用だ。
ここにひとつの戦いが終わった。
朽屋瑠子は封魔の組織に担架でさらわれた後、組織からの治療と天使からのヒーリングを受け早々と回復。組織の元でいろいろな教育や、射撃などのコンバット訓練を受け、メキメキと上達していく。中でも朽屋の使う霊力を込めた弾丸には、背中の刻印からの魔力も合わさり、非常に退魔力の強い弾丸が撃ち出された。がしかし、体力と精神力の異常な消耗の為、まるで睡眠薬を飲んだように一気に眠気が襲ってくる副作用もあった。
そのたび、側でより子がヒーリングを行い朽屋を癒していた。
そんな訓練の日々がつづいていた・・・
・・・・・・
約1年後・・・。
新築された教会の中で、ルーカ神父は少しそわそわしていた。
今日は高等部の入学式であり、朽屋瑠子が戻ってくる日でもあった。
一応組織内で勉強して中卒の資格を取った朽屋は、この日晴れて元のK女学園高等部への進学が果たされたのだ。この1年間ほどは留学していた・・・ということになっている。実際に銃の訓練ではアメリカにわたってはいたのだが・・・。
教会のドアがバーンと開き、女子生徒が一人入って来た。
「ただいまーー神父様~!」朽屋瑠子の元気な声が響き渡る。























kamaです。先ほど投稿させていただいた「より子ちゃん」の裏で起きていた一大事件を書かせていただきました。まず先に「より子ちゃん」を読まれてからこちらを読むと、面白さも倍増かと思います。
またこの「朽屋瑠子」シリーズも今回で4作目となりますので、合わせて他の朽屋瑠子シリーズも読まれると世界観が広がると思います。
あと、今回27ページもの大長編となってしまいました。頑張って読んでくれた方、ありがとうございます。・・・これだと誰も怪談朗読してくれないだろうから、そのうち自分でやろうかな・・・と思ってます。
まるで吸い込まれるような感じで、最後まで拝読させて戴きました。続きを早く読みたいです。
↑kamaです。27ページもあるのに読んでいただき感謝です。
朽屋瑠子シリーズは今後、短編をいくつか出しつつ、たまに長編みたいな、そんな感じで出して行こうと思ってます。
kamaです。
涼君が押し入れの鉱石採集セットを見つけてより子ちゃんに再開するシーンに、
『ローズクウォーツが抜け落ちた鉱石採集セットのように、
涼の心にもぽっかりと隙間が空いているようだった。』
という一文を追加させてもらいました。
・・・詩的でしょ?
まさに、涼君の鉱石セットのくだりがホロリと来ました。短編物も拝読させて戴きましたが、瑠子シリーズはスリルがあっていつまでも読みたくなります。
↑kamaです。ありがとうございます。どこかホロリとくるシーンがあるのって、いいですよね。怪談は怖い話ばかりじゃないと思いますし。
奇々怪々に「怖いボタン」以外も欲しいです~。
また楽しみにしていてくださいね。
ボクはより子ちゃんが泥だらけになっても涼君を追いかけるとこでホロリと来ました。
より子ちゃん単独の話だけ見ていると、子供の誕生日になぜ教会から出られないより子ちゃんが家まで来たのかわからなかったけど、これでつながりました。
↑kamaです。ありがとうございます。朽屋瑠子シリーズは、ボクの作品の裏で起きてる解決編みたいな構成で、オムニバス的に楽しめるようにしてます。これからもよろしくお願いします。
今まで投稿話の中で27ページという最長の話を投稿されたkama先生お疲れ様です。ところで今回の話も場合によっては改稿などで短くなるでしょうか?
↑kamaです。ありがとうございます。改稿の可能性は無いとは言えませんが、今のところは「やり切った感」が強いので、あったとしてもたぶん1年後とか、あるいは改稿しないか・・・という感じです。そうですね・・・やるとしたら戦争の歴史を説明している部分をもう少しはしょるとか・・・ですかね。でもあの部分もより子ちゃん親子がいかにして生涯を閉じたかの部分なのでバックボーンとしては残しておきたい気もしますし。まぁとりあえず今は次の作品を出すことの方を優先したいと思ってます。ありがとうございます。
色々な方の長編作品を読んでいた際にkana様のクッチャルコシリーズを見つけ、初投稿から読ませていただいているのですがこの話で先に読んでいた作品と繋がってとてもテンション上がりました…!!
本当に楽しく読ませていただいてます!!ファンです!!!