首吊り林
投稿者:煙巻 (8)
「大丈夫ですかー?警察呼びましょうかー?」
Aなりに女性を気遣って声を張り上げるが、特に反応は無かった。
「一先ず近くの交番に伝えとくか?俺達じゃどうしようもないだろ」
あまりに反応が無い為、Cが冷静に意見をまとめようとした。
が、その時だった。
『ボトッ』と小さめだが何かが頭上から落ちて来た音がした。
それは俺達の近くの枯葉に埋もれる様に落ちた。
さすがに音の場所が近かったからか、Aを始めに俺達は一メートルもしない距離を駆け足で進み、地面を照らす。
赤いハイヒールと思しき靴が落ちていた。
靴?
最初からここにあったのか、それとも今の音は靴が落ちて来た音なのか。
だとすれば、この靴は頭上、即ち木のように遥か高い位置から落ちて来た事になるが…。
そして何か違和感を覚えた瞬間、硫黄というかアンモニアというか、とにかく異臭が立ち込めて来た。
俺が顔をしかめ、Aが靴を拾い上げようとしゃがんだ体勢になった時、俺の頭に『ツン』と何かが接触した。
始めは落ち葉でも乗っかったのかと思い手で払ったのだが、俺の手は柔らかい葉っぱを弾くのではなく、何かずっしりとした重みと弾力のあるものを弾いた。
俺は咄嗟に頭を下げて振り返る。
そして、懐中電灯で頭上を照らすと、戦慄し「うおおおっ!?」と絶叫した。
そこには人間らしきものがぶら下がっていた。
俺は悲鳴を上げつつ後退し後ろ向きにずっこけると、尻餅をついたまま懐中電灯でそのぶら下がっているものを照らし続けた。
俺の悲鳴に驚きつつ三人も懐中電灯でそれを照らすと、太めの木の枝にロープを巻き付けて首を吊ったコート姿の女性がぶら下がっている事に漸く気付いた。
「「「うわああああッ⁉」」」と三人も叫ぶ。
首を吊った女性の首は異常に、胴よりも長いくらいに伸び切っていた。
あんぐりと開けた口からは長い舌が垂れており、目は半分くらい飛び出しそうになりながら上を向いていた。
マジ物の首吊り死体だった。
俺達は心臓が張り裂けそうなくらいビビりすぎて口は開いてても声は出なかったし、三人も俺と同じなのか知らないけど、腰が抜けたように死体を前にして固まっていた。
だが、そんな怯み切った俺達に更なる恐怖が降りかかる。
『すみませーん』
例の掠れた女性の声がどこからか聞こえて来たのだ。
声が聞こえたと同時にマジで心臓が止まるくらいビビった。
どんだけビビらすんだよってくらい動悸が激しくなったから、半ギレで「ああ!?」と声に返事すると、再び女性の声が『すみませーん』と聞こえ、もう何が起きてるのか分からなくパニックになりかけてた。
面白かった!!