エレベーター前のお婆さん
投稿者:take (96)
私が中学生の時の話です。
友人のA君の家へ遊びに行くことになりました。
10階建てのマンションの8階です。
当然エレベーターを利用したのですが、
そのエレベーターはドアにガラス窓が付いているタイプでした。
シャフト内を昇っていく最中、途中階の出入り口前が見えるのですが、
「ん?」
肌に粟が立つような、頭の毛穴がゾワゾワとする感じを覚えました。
これは人ならざるモノと遭遇する時の感覚なのです。
3階を通過する時、ドア前にお婆さんが立っているのが見えました。
つばつきのニット帽を被り、グレーのカーディガンを着ていて、俯いているので顔は見えませんでした。
「え?」
5階と7階を通過する時も、そのお婆さんがドア前に立っていたのです。
A君の部屋がある8階にはいませんでした。
3階と5階と7階、奇数階にあのお婆さんはいた……すると9階にもいる?
好奇心に駆られて、もう一度エレベーターに乗り、10階のボタンを押しました。
9階を通過する時、やはりお婆さんがいましたが、10階にはいません。
階段で8階まで降り、A君の部屋を訪ねました。
さりげなく、このマンションで変な噂とかある? と訊いてみましたが、
とくになにもない、とのことでした。
帰りは階段をつかって1階まで降りました。
その途中で奇数階に立ち寄って、
エレベーター前を見てみようかと思いましたが、やめておきました。
その後、A君の部屋に遊びにいく機会がある時は、行きも帰りも、
必ず階段を使うようにしました。
なぜ奇数階だけなのか、そこで止めたら乗ってくるのかこないのか、色々興味はありました。
が、触らぬ神に祟りなし、と言いますから……。
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