お迎えです
投稿者:ぴ (414)
私は一度だけ田舎の小さな病院で働いたことがあります。
あまりに人手が足りないのでと誘われて、当時職を探していた私はその職場で働くことになりました。
主に受付で仕事をしていたのですが、朝にたまに「お迎えです」という人がやってくることがありました。
それを言われたら医師に繋げと私は言われていたのです。
私はタクシーのお迎えかなにかだと思っていて、その度に、医師に内線で「お迎えです」と伝えていました。
ですが、あるときふと気づきました。
お迎えの人が来た日に限って、必ずこの病院では死人が出ることに気づいてしまったのです。
そのことを先輩の事務員に話したら、「何それ?」と言われました。
その人は一度もお迎えの人に会ったことがないらしいのです。
「やめてよ怖い話」と言われたのですが、私は結構な頻度でお迎えの人を内線で先生に繋げたことがあります。
だから気になって、他の事務員にも聞いてみたのです。
しかし驚くことに誰一人として、お迎えの人を知っている人はいませんでした。
何なんだろうと怖くなりながら、その職場で働いていたらあの「お迎えです」の人が窓口に現れたのです。
慌てて周りの事務員に教えようと思ったけど、運悪く一人は電話にかかりっきりで、一人は昼休みで外に食べに行って留守でした。
仕方なく、私は電話で先生に「お迎えです」と繋いだのです。
そしたらいつもの人が私に「今日で最後ですね。ありがとうございました。」と言ったのです。
意味が分からなくて、「何がですか?」と聞いたら、「いーえ」と意味ありげににっこり笑って、その人は去っていきました。
その日の夕方に突然先生が倒れて、そのまま帰らぬ人となりました。
そのせいで田舎の病院だったそこは閉鎖するしかなくなり、私たちも強制的に転職することになりました。
あのお迎えの人は、まるでこうなることをすべて知っていたかのようでした。
あのお迎えの人が来たら、人が亡くなるんだと思います。
ずっと気づかなかったけど、きっとあの人はこの世の人ではないんだと思っています。
正に死神ですね。
怖い。
でも、内線で先生に伝えていたわけですから、先生も分かっていたと言う事ですよね。
今日で最後ですね。の、言葉が意味深で怖い。