劉生は左利きだった。
彼女は小走りでクローゼットの前に立ち徐に扉を開くと、
中から護身用の金属バットを引っ張り出す。
そして男の背後に立つと、その頭部めがけて躊躇なくバットを振り下ろした。
コン!
小気味良い打撃音とともに、そのまま彼は椅子からカーペットに崩れ落ちた。
そして仰向けのまま壊れたからくり人形のようにビクンビクンと全身を痙攣させている男めがけて麗奈は、なおも二度三度とバットを振り下ろす。
終いに男の顔面は血だるまになり、原形を留めぬくらい歪に変形していた。
ただその目は相変わらず宙空の一点を見詰めながら、微笑み続けていた。
麗奈は、白い顔に点々と付いた返り血を拭うこともせずバットを落とし、その場にガックりとへたりこむと、いつまでも狂ったように笑い続けていた。
【了】
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