訪問営業
投稿者:うめ (2)
しつこい。こんなに何度も何度も鳴らすなんて確実に悪徳業者に決まってる。
だんだん腹が立ってきた俺は文句を言ってやろうインターホンまで行き、モニターに写っている30代半ば程の満面の笑みを浮かべた男を見て受話ボタンを押した。
ピッ
お世話になっております。株式会社〇〇の坂田と申します。
今わたくしがお声かけさせて頂いていたのは…
その声を遮る様に俺は怒鳴った。
何回もしつこいんだよ!俺は今熱出して寝てんの!大体こんなご時世に訪問販売なんてあり得るのかよ!そんな悪徳業者なんか相手する暇ないんだよ!
ピッ
そう言って受話ボタンをもう一度押して応対を終え、少し気持ちをスッキリさせて寝室に戻ろうとした。
ピンポーン
嘘だろ。どんなメンタルしてんだよ。
普通こんだけ言われてまだ押すか?きっとブラック企業勤めでノルマに追われている営業なんだろう。
そう考えると言いすぎたかもしれないな。
そう思いながら丁重に断るべくまたインターホンへ向かった。モニターには先程と変わらず満面の笑みの男。俺は受話ボタンを押した。
ピッ
いやーお客様。突然の訪問大変失礼致しました。
お客様がお怒りになるのはごもっともです。
しかし、弊社が今回ご紹介したいと思っていた商品はこんなご時世だからこそオススメしたい商品でありまして〜…
いや、すみません。さっきは言い過ぎました。
でもいま熱が出ていて休んでいるのは本当なんで他所当たって下さい。
ピッ
全然意味わからないけど怖い…
よくわかんないけど怖かった
画像付きインターホンならほぼ画像残るよな
ひどい!何かなんでも買えれば買わない!
最初は誰にでも起こりそうなヒトコワ話系かと思ったら理不尽な悪夢話系のホラーだったのに驚いた
後半の不条理展開は少しだけ筒井康隆のホラー短編っぽさを感じた
訪問した男は坂田さんの名前を語っただけかも。
坂田さんに何か恨みでもあったのかもしれませんね。