裏の細坂
投稿者:ももね (3)
短編
2023/01/27
15:22
713view
まだ小学生だった頃の話である。
当時、私の通っていた小学校は坂の上に建てられていた。
普段登校に使う、『表』と呼ばれる正門から伸びた坂の他にもう一本、裏門から伸びる坂道があり、こちらは『裏』と呼ばれていた。
裏の坂は途中で二股にわかれていて、道幅から、『細坂』『太坂』と呼ばれていた。。
結局のところ、どちらも同じ道にでる。数十メートル出る場所が変わるくらいの話だ。
だからどちらを使っても構わないのだが、裏の細坂はみんな嫌がって使わない。
裏の細坂で転ぶと足が腐る。そんな噂があった。
その坂で、友人(仮にA君とする)がコケた。
怖い話をスパイスにして、細坂を全力で駆け上がるという遊びをやっていたのだった。
A君もかなり怖がっていたという話だったがさすがは子供だ。翌日には忘れて、遊びにせいを出していた。
結論から言えば、A君の足が腐ることはなかった。
その代わりに、折れた。
ジャングルジムから落ちたのだ。
A君は、誰かに背中を押されたと言った。
押したやつなどいない。A君は私の目の前で落ちたから、はっきりと断言できる。
だが同時に、見てしまったから否定もできない。
A君の身体は明らかに、見えない何かに突き飛ばされていた。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 6票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。