もう一人の作業者
投稿者:わなび (2)
これは10年以上前に仕事中に体験した話です。
私は製造関係の会社に勤めています。
今では法改正や規制などもあり20時以降の遅くまで残って仕事をすることもなくなりましたが、当時は深夜近くに1人で作業場に残って仕事をすることも珍しくありませんでした。
この日も連日残業が遅くまで続き、複数の仕事を兼務している自分は、また1人で最後まで残るはめになってしまいました。
こうも毎日残業が続くと疲れてくるなと思いながら、デスクのパソコンで資料の作成を行っていると、近くの作業場の方から『カンッカンッカンッ』と何かを叩く音が聞こえてきました。
自分以外もう帰宅したと思っていた私は別の職場の知り合いが冗談で何かしているのだろうと、思い当たる知り合いの名前を呼びながら音の鳴っている方へ歩いていきました。
音の鳴る方へ近づいてみると、どうも作業場にあるホワイトボード裏の方から聞こえてきているようでした。
いくら名前を呼び掛けても返事がないので『いい加減にしろ』と言いながらホワイトボードの裏を覗くと、そこには誰もおらずただコンテナが積まれているだけで、今までうるさく鳴っていた音もピタッと止み静寂が広がるだけとなりました。
そこから急に怖くなってきた私は残っていた作業を切り上げて逃げるように急いで帰宅をしました。
翌日、職場の同僚にこのことを相談したのですが、他にも職場に置いてある時計が4時44分に止まるなど気持ちの悪い事象が起こったことがあるそうです。
しかし会社で人が亡くなったなどの話は聞かず、いまだにあの現象の原因はわからず仕舞いです。
今でも職場で怪異が起きているのですか?