バイトで集落行ったら奇妙な体験をした
投稿者:我望 (3)
A「ちょっと気味悪いな」
B「一応、撮っとくか」
素直に気持ち悪いと零すAを傍らに、これも仕事だと前置きしてBがスマホでその地蔵を撮影し始めた。
俺は改めて村を一望するが、何処を見渡しても人っ子一人居ない閑散とした様子に不安が増していった。
あまりにも静かすぎる。
そう思うと、そもそもこの村に住人が居る前提が間違っているのではと思えた。
先輩は人の出入りはあると言っていたが、それが住人だという確証はない。
もしかしたらこの村を管理する役場の人の可能性もあれば、廃墟巡りが趣味の一般人かもしれない。
俺「なあ、本当に誰か住んでるのかな?」
不安に駆られてそんな事を友人達に訊ねるが、友人達は「まあ、居ないなら居ないで、この村でどんな生活が送られていたか調べればいいんじゃね」と予想外にも真面目な事を返された。
学者でもないしがない大学生が、それも先輩の使いとして来ただけの無知な俺達が地元の人の協力無しで何をどう調査すると言うのか。
一先ず住人と出会う事が必須な為、俺達は地蔵を後にして村へ足を運んだ。
そして、一番手前にあったボロボロな家屋の前に立つと、Aが「こんにちわー!すみませーん!どなたかいらっしゃいませんかー!」と声を上げた。
暫く口を閉じて住民の反応を待ったが返事はない。
これはいよいよ無人と言うか、廃村の可能性が出て来たので、俺とBも散り散りとなって手あたり次第の家へ突撃していった。
「すみませーん」と訪問してみるが何れも反応が返ってこない。
これは先輩からの報酬は期待できないなと落胆しながら最後の一軒へ淡い期待を寄せて向かう俺達。
今にも崩落しそうな外観の木造平屋だった。
家の脇にはトタン屋根の物置があるが、野ざらしとなった農具は何れも赤錆まみれだった。
前庭には鶏小屋があったが、金網の至る箇所に穴が空いており、中に鶏が居る形跡は無い。
誰が見ても無人の空き家。
Bが「すみませーん」と声を張るが、空しい沈黙がやってくるだけだった。
こりゃ誰も居ないな……俺達がそう思った時、家の中から随分とゆっくりな足音が聞こえてくる。
まさに踵を返す所だっただけに「え?」と焦ってしまったが、足音が近づく度にすりガラスに人の面影がぼんやりと写ったので、無駄骨じゃなかった事に歓喜した。
B「マジでいたな」
A「レコーダーどこだっけ?」
俺達は人が居た喜びから慌ててインタビューする準備を整えるが、それより早く引き戸が「ガラガラガガガ」と妙な引っ掛かりを見せながら開く。
家の中から出てきたのは少なく見積もっても六十代くらいの前髪が禿げ上がった男性だったが、その容姿は長い年月風呂に入っていない様な皮膚の上に老廃物の鎧を纏った浅黒い仙人みたいな人だった。
勿論、白髪混じりの長い顎鬚も生やしていたが、見目は汚い。
言うなれば浮浪者に近い恰好だった。
すげえ
めっちゃ読み応えありました
こういうのもっと読みたい
これ最高
描写がすごい
これほん怖とかの実写で見てみたいな
想像で吐き気がやばかった。怖かった。
漢字で書いた方が読みやすい言葉と、ひらがなで書いた方が読みやすい言葉がある。って文学者が言ってた。
本当に理解しているエンジニアは説明の時に専門用語を使わない。それと似ている