甘くて、臭い匂い_(加筆修正版)
投稿者:kana (210)
ボクの元同級生に、警察官になったやつがいる。
根はまじめだが貧乏だった彼は「新聞奨学制度」というものを利用して
働きながら学費を稼いで学校へ通う、いわゆる「苦学生」をやっていた。
夏も冬も朝の5時には起床して新聞配達、夜は夜で営業活動に集金と、
当然友達と合コンなんかする暇もなく、
「絶対にこの奨学制度は他の人にはお勧めしない」と悔いていた。
そんな彼が最も苦労していたのが、配達先からの集金。
なぜか彼の勤めていたお店は学生にもキツイ仕事をさせるところで、
集金も80%回収できなければ給料をもらえない仕組みになっていたので、
仕方なく自分の給料を前借りして未収金のところを自腹で払って80%を達成し、
後からゆっくり未収金のところを個人的に回収するという超ブラックなことまでさせられていたという。
問題なのは、この未収金がなかなか回収できないということ。
だまって引っ越しされてしまうと、学生が肩代わりした未収金が回収できなくなってしまう。
もちろん回収できるところもある。
ほぼ家にいないので、日曜の朝とか深夜に集金に行く。
これを「夜討ち朝駆け」と勇ましく言っていた。要は奇襲である。
そんな集金困難な客の中に、たまにとても『臭い家』があるという。
物が腐ったような匂いとはまたちょっと違う、吐き気がするような匂いなのだが、甘い香りが混ざっているという。その甘くて臭い「すえた様な匂い」の中で、人が暮らしているのが信じられなかったそうだが、彼の話によると200軒に1軒はそんな家があると言うのだ。
実際にはそんな頻度ではないと思うのだが、彼が言うには、だいたい新聞配達をする自分のエリア内に200軒の顧客がおり、何年かこの仕事をやっているとエリアの交代をするそうで、彼は卒業までに4区、2区、3区とエリアを3回変わったものの、その3回とも、かならず1軒はそのような甘くて臭い匂いをさせている家があるという。なので200軒に1軒だと説明していた。
紆余曲折あり、彼は後に警察官となり、あるとき殺人現場に臨場することになった。
その時、例の甘くて臭い匂いを現場で嗅いだのだ。
「うっ、この匂いは・・・」
と戸惑っていると、先輩警察官が教えてくれた。
「死体の始末に困って自分の家の床下なんかに穴を掘って埋めるやつがいるんだが、
そうするとな、こんな匂いが出るんだよ」
それを聞いて嫌な予感が脳裏をよぎったそうだ。
「じゃあ、もしかして・・・200軒に1軒は、死体を埋めている家があるんじゃないのか?」・・・と。
・・・彼の考えすぎであることを、願いたいですね・・・。
kamaです。
こちら、過去作品のしつこい言い回しなどを読みやすく修正したものになります。
内容としてはアレですね。ホラーというより、その新聞社のブラック加減の方が怖いわ!
という声も良く聞きます。実話ですし。
まぁでも昭和の時代のお話ですから、今はこんなことにはなってないと思いますので、
奨学金を欲しい学生の方、二の足を踏まないでくださいね。
卒業後に何百万円も借金しなくて良いという利点もありますからね。
※本当に貧乏な子にむけて、返済不要の奨学金もあるよ。ホラー読んだくらいで慌てないでね。
なるほど…
以前の「臭い車」に続き「臭い家」ですか。
俺の家からもこんなにおいが
しない