消えた照明と、壇上の5人目

私のが小学生の頃に体験した話です。

その時私の学年は、学校行事で一泊二日のキャンプを行っていました。
もっともキャンプ地は学校の裏山で、夕食作りなども学校の設備を使っていました。
20年以上前の事で、経緯は覚えておりませんが、なぜか夜に皆で学校の体育館に集まり、4人の女子生徒が壇上に上がり、怪談を始めたのです。
あらすじは、いじめられていた女子学生が亡くなり、いじめていた女子グループが女子学生の幽霊を見る、という内容で、話し手の女子が上手いのか、文章が良く出来ているのか、かなり話に引き込まれたのを覚えています。
終盤、女子グループが夜の学校の、暗くて人気の無い廊下で、制服を着た女子らしき人影が近づいてくる場面に及ぶと、聞き手の私たちの緊張は一気に高まりました。

「近づいてくるにつれ、その制服は血にまみれ、所々に大きな傷などが

　ありました。そしてその顔は彼女たちがいじめていた－－

フツッ。
突然、暗闇。
「きゃああああああああ！」
「何！？何ィ！？」

いきなり体育館の照明が全て消え、何人かの女子が悲鳴を上げると、
フッ。

と今度は一斉に照明が付き、明るくなりました。その間、ほんの数秒でしたが、しばらくは皆騒然となっていました。
段々落ち着いてくると、上手い演出だ。誰かが照明のスイッチの前に陣取って、タイミング良く消したのだろう。
皆そう思っていました。
しかし、キャンプが終わって通常の学校生活に戻ると変な噂が広がりました。
本来、あのタイミングで証明を落とすつもりは無く、壇上の4人が一斉に悲鳴を上げる予定だった、というものです。
単なる噂だと一笑に付す子もいましたが、確かにおかしいのです。
体育館の証明のスイッチは沢山あるので、一斉には消せないし、ブレーカーを落とした場合は一斉に消えることはあっても、上げた時に一斉に点くことはありません。ですがあの時、皆が一斉に消えて、一斉に点いた、と言っています。誰かが消したり付けたりしようとも、出来ないのです。
また、壇上にいたのは4人の筈ですが、途中から5人になっていたと言う子が何人かいました。因みに最初から5人だったという子はいませんでした。

壇上の4人はこの噂について、あまり触れたがらなかったそうです。