血色の悪い足の患者
投稿者:ぴ (414)
長編
2022/12/24
21:33
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そしてその人が視界から見えなくなったときに、ふっと力が抜けるような感覚がありました。
さっきまで寒かった待合室が嘘みたいに急にポカポカしてきて、やっと脅威が去ったと思いました。
病衣の人が自分から離れていってくれて心から安心しました。
その後簡単な診察をしてもらい、お薬をもらうときに何気なくお医者さんに聞いてみました。
「入院している人って二階に部屋があるんですか?」と気になったことを確認しました。
そしたらお医者さんは困った顔になり、「今は入院患者さんはいませんよ」と言ったのです。
話を聞いたら医者不足もあり、数年前から入院患者の受け入れを縮小し、今はもう受け入れ自体がなくなったらしいです。
つまり今入院患者は一人もいなくて、病衣でうろついている人がいるわけがなかったのです。
私が見たあの血色の悪い足の人はやっぱり生きている人間ではなかったみたいです。
きっと、この病院でさ迷っていた幽霊なのでしょう。
幸いなことにそれ以降に私はあの青ざめた足を見ることは二度となかったです。
やせ細ったあの男の人はきっと何らかの病気で、あの病院で亡くなってしまったのでしょう。
今もおそらくさ迷っているはずです。
幸いなことはあの人が私に取り憑いたのはほんの気まぐれだったことでした。
すんなり離れていってくれたおかげで、今は普通の暮らしができています。
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