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心霊

ラキューさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

怨念
長編 2022/12/23 23:58 2,700view

ドイツに留学していた18歳の夏の話です。知人から、知人が今住んでいるアパートの一室が空いているとの情報をもらい、そこに住むことになりました。
ドイツは第二次世界大戦の銃撃の後が至る所に残されていて、『第二次世界大戦時に崩壊し、〇〇年に復旧』と各アパートに刻まれています。古い街並みが多く、少し不気味な雰囲気がありました。

いい意味ではレトロな感じです。どの家にも地下室があり、教えてもらったアパートにも地下室がありました。
初めてそのアパートを訪れたときは、初めての土地にワクワクする気持ちが強く、古い内装を見ても、こんなレトロな家に住めるなんてステキ!!と浮き足立っていました。
地下を案内された時の第一印象は、『牢獄みたい』でした。薄暗く、牢屋の柵のような仕切りが、少し不気味でした。
そして私のスペースを案内され中に入ると、部屋の奥の片隅に、段ボールが一箱ありました。『これはなんですか?』と大家に聞くと、『前の住人の忘れ物だと思う』と言われ、その時は深く考えずに、へぇと流しました。
アパートは、日本で言うシェアハウスになていて、キッチンとトイレは共有でした。

私の住んでいた地域は日本人の留学生が多く、私の他に二人の日本人がいました。
すぐ仲良くなり、一緒にご飯を食べたり買い物に行く仲になりました。
住み始めて3ヶ月経った頃、ふとその日本人Aさんから、『そういえば、この家のこと、大家さんに聞いた?』と聞いてきたのです。

私は『ん?この家のこと?なになに?』と返しました。
Aさんは、『聞いてないなら大丈夫!』とすぐに話題を変えました。私も疑問に思いましたが、話の流れに乗り、すぐに忘れました。
そして事は起こるのです。

留学して初めて迎えた夏、ドイツ人の友人もでき、語学学校でできたいろんな国の友人と私の部屋で夜ご飯を食べ、お酒を飲んでワイワイ楽しんでしました。
みんな酔っ払ってきて、時間も深くなってきたのでそろそろお開きにしよう!とだんだん帰っていきました。
フランス人の女性が帰り際に、『このアパートさ、なんか雰囲気暗いよね、気をつけてね!ドイツは霊が多いからね!』とサラッと言って帰っていきました。
私も酔っ払っていたので、なんで帰り際に言うんだよと思いながらも、みんなが帰った後、ソファに横になり、そのまま寝てしまいました。

そして、夜中に目が覚めて携帯で時間を確認すると2時、まだまだ寝れる、と再び目を閉じ、寝ようとした時です。
ベランダの方から、コツ、コツ、コツ、とこちらに向かってヒールで歩いてくる足音が聞こえてきたのです。
その瞬間全身が硬直し、金縛りにかかり、身動きが取れません。

目は瞑っているのですが、なぜか部屋の様子が見えていました。
ドイツ人と思われるヒールを履いた女性が、近づいてきます。動けないまま全身鳥肌が立ちます。
ゆっくり近づいてきてソファに横になっている私の顔をグンっと覗き込みました。
その瞬間に体の硬直が溶けて目をパッと見開くことができました。でも、目を開けるとその女性は消えていました。
なんだったんだ、、、と怖くなりましたが、お酒のせいか、その後私はすぐに寝てしまいしまいました。そのまま朝まで寝て、またいつもの1日を過ごしました。

語学学校に行き、バイトをして帰ってきて、疲れ切って昨夜のことを思い出す暇なく、ソファでまた寝てしまいました。
するとまた夜中に目が覚めて、時間を見ると午前2時、そしてまた眠ろうと目を瞑ると昨夜と同じように、ベランダの方からヒールの靴を履いた金髪の女性がこちらに歩いてくる音が。
また金縛りで身動きが取れず、目を閉じているのに部屋が見える状態でした。
そして昨夜と同様、顔を覗き込まれて、その瞬間目がパッと開き、その女性は消えている。

流石に2日続けて同じことがあって怖くなり、その日は眠れませんでした。
目を閉めているのに部屋が見えているので、夢かな?と思い、と言うよりそう思って自分を安心させていました。

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