肝試しでみたもの
投稿者:いももち (40)
叔父が中学生だった頃のお話です。
夏休みのある日、夜の学校に忍び込んで肝試しをすることになりました。叔父は怖いものは苦手でしたが、なめられないよう我慢して参加したそうです。
ひとりを残して他の男子は1階と2階のどこかに隠れ、全員を見つけたら交代とルールを決めました。
内心怯えていた叔父でしたが、隠れられる場所は限られているためみんなだいたい同じ場所を選ぶこと、脅かし方も大声を出したり女性の泣き真似をするばかりで全く怖くないことで気が抜けたそうです。
そのため叔父の順番がきても余裕で歩き始めたそうです。廊下の掃除用ロッカーから飛び出すやつ、トイレですすり泣きをするやつ……と機械的に見つけていきました。
ふと3階へ続く階段をみたところ、学ランの腕が階段のてっぺんからだらりと伸びていたそうです。「おい、3階は無しってルールだろ」と声をかけても腕は微動だにせず、叔父は「一生そこで這いつくばってろ!馬鹿!」と吐き捨てると次に進みました。
仲間をすべて見つけスタートの位置に戻った叔父はルール違反をしたやつがいたと文句を言うと、みんな不思議そうにしています。
むきになった叔父が「学ラン着て階段から腕だけ出してたやついただろ!」というと、みんな悲鳴をあげて校舎から飛び出して行きました。
叔父も慌ててあとを追って問い詰めると
「真夏に学ラン着る馬鹿がどこにいる!」
「腕だけ見えたっておかしいだろ、そいつの腕はどんだけ長いんだよ!頭はどこにあるんだよ!!」と言われ、腰を抜かしてしまったそうです。
それ以来叔父たちの仲間うちでは肝試しはタブーになりました。
「学校の七不思議はあったけど、あんなやつの話は聞いたことないから本物だったのかなあ」と呟く叔父を私は恨みました。その時の私は叔父が通った中学校に通い、部室は3階にあったからです。
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