障子の穴から覗く目玉
投稿者:ぴ (414)
短編
2022/12/20
19:11
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おじいちゃん家に行くと、私はよく障子に穴を開けるイタズラをしていました。
悪い癖なのですが、孫に甘かった祖父は怒ることもなく、いつもにこにこしていました。
だから調子に乗って、その日もおじいちゃんの家の障子にプスプスと指で穴を開けました。
そしてふとその穴を見たら、開けた穴から誰かが覗いており、ぎょろっとした目と視線がぶつかりました。
私はおじいちゃんだと思って、それを見て笑いました。
てっきり、愛嬌のあるおじいちゃんがそこから覗いているんだと思いました。
だから私はとてとてと歩き、戸を開けて廊下に顔を出したのです。
廊下でにやにや笑う祖父を想像していたけど、廊下側には誰もいなくて私はびっくりしてしまいました。
もう一度戻って穴を見たら、やっぱり誰かが覗いていて目と目が合います。
目玉がぎょろっと動いて、私をじぃっと見ていました。だけど、廊下を確認してもやっぱり誰もいなかったのです。
私は怖くなって、慌てて別の部屋にいた祖父を呼びにいきました。
そして祖父を連れて部屋に戻ると、もう穴からぎょろっと覗いていた目は無くなっていたのです。
あんなことがあり、私は障子に穴を開けるイタズラをあまりしなくなりました。
祖父に「障子に穴を空けたら鬼がやってくる」と脅かされたからです。
あの目は今もなんだったのか分からなくて、ちょっと怖いです。
本当に鬼だったのか、それとも別の何かだったのか、どちらにせよ私にとっては怖い思い出です。
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