もしもし?
投稿者:いももち (40)
短編
2022/12/12
06:24
934view
私が子どもの頃に体験したお話です。
私の祖父は木工細工を作ることが好きで、敷地の隅に作業所としてプレハブを建てるほど熱をあげていました。
しかし家族にとっては少し厄介で、祖父宛ての電話や食事の支度ができたことをいちいち外に出て伝えに行かなくてはならないのです。たいしたことのない距離でしたが、面倒に変わりはありませんでした。
そこで電話の子機を作業所に置いて連絡をとることにしたのですが、たまに不思議なことがおこりました。
食事の支度をする母の代わりに電話をすると、受話器はとる音はするのに返事がないのです。
「もしもし?」「おじいちゃんご飯だよ!」
と呼びかけてもサーーッというホワイトノイズしか聞こえません。
(なんで何も言わないんだろう)と受話器を耳にあてたままの私の横をひと風呂浴びた祖父が通ったり、電話を切ったあとトイレから出てきた祖父と鉢合わせになることがありました。
幼い私は(なんだこっちにいたんだ)と気に止めませんでしたが「おじいちゃん電話に出たけど喋らなかったよ」と言ったときのひきつった母の顔の意味が今ではわかります。
受話器をとったのは誰?
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 4票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。