注意換気

祖父から聞いた昔あった怖い話です。

私の地元には登山ができる山があり、シーズンになるとたくさんのお客さんで賑わいます。
その山に新しくリゾートホテルが出来ました。

祖父の友人であるAさんはそのリゾートホテルの系列店で働いており、完成記念パーティーの準備に駆り出されたそうです。
その準備が思ったよりも長引いてしまい、パーティー当日も朝早く出勤しなければならないため、家が遠い人たちのみ会議室や宴会場に別れて雑魚寝をして一晩過ごすことになりました。

Aさんは先輩たち２人と一緒の小さな会議室を割り当てられました。真面目で気弱なAさんをいじる先輩たちだったため、内心かなり憂鬱だったそうです。

その夜も先輩ふたりはストーブの近くの暖かい場所を陣取り、Aさんはすき間風が入り込む入り口の近くに追いやられてしまいました。
一晩だけの辛抱とAさんは寒さに震えながら眠りにつきました。

するとすぐに猛烈な頭痛と吐き気でAさんは目を覚ましました。(こんな場所に寝かされたから風邪をひいたんだ)と思ったAさんは、重い身体を引きずって助けを求めて部屋を出ました。

まだ起きていた同僚に事情を話すと気の毒に思って自分たちの部屋に寝かせてくれました。

翌朝、Aさんをいじめていた先輩ふたりが布団のなかで亡くなっているのが見つかりました。
死因は一酸化炭素中毒でした。

先輩たちがストーブをつけっぱなしにして換気を怠ったため、ストーブが不完全燃焼をおこして一酸化炭素が発生したそうです。
皮肉にもAさんはすき間風が吹き込む場所に寝ていたため助かったようです。

すぐに救急車や警察がきて、パーティーは中止になってしまいました。

先輩ふたりが亡くなった部屋は現在でも普通に使われていると聞いて怖くなりました。