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心霊

四川獅門さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

僧伽(サンガ)
長編 2021/02/26 08:44 28,150view
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紀子さんは踏切へと走り出した。
カンカンと音がなり、遮断機が降りる。
ゴーと音を立てる電車が、紀子さんと新一君を遮った。
電車が去り、ゆっくりと遮断機が上がる。

新一君がフェンス越しに座りこんで、何かをしている。女の子はいない。
紀子さんは気づいて、戦慄した。頭が真っ白になって。叫んだ。

「やめてええええ!!新一!!」

新一君はフェンスに沿って置かれた献花の前に座り込み

お供え物のお菓子を頬張っていた。

紀子さんは新一君に駆け寄り、その両肩を掴み、喚いた。

「何してるの!!これが何だか分かる!?これは新ちゃんのお菓子じゃないの!!どうしてこんな事したの!!」
泣きながら、問い詰める。

「……ユキちゃんが、食べていいって。」
新一君もポロポロと泣き出した。
紀子さんの頭に、いつかの記憶がよぎる。

『 ユキちゃんとお菓子食べてお腹いっぱいになっちゃった。ごめんなさい』

紀子さんは絶句した。

「ちょっとあなた」

後ろから声をかけられた。振り返ると怪訝な顔をした中年女性が立っていた。

「遺族の方?」
女が聞く。

「いえ、違いますけど」

「あら、そうなの?アタシ、そこの家に住んでるんだけどね、正直困ってるのよ」
女が話し出した。

「もう3年くらい前の事故なのに、ずーっとお菓子やら飲み物やら、花束やら、風で散らかったりして迷惑してるのよ」

「そうでしたか」

では失礼しますと立ち去ろうとしたが、女は強引に話を続ける。

「女の子がね、飛び込んだのよ。なんでも虐待されてたとか」

「やめて下さい!子供の前でそんな話!」

7/10
コメント(2)
  • 七面山ということは日蓮宗か。

    私も坊さんやっておるけども(日蓮宗ではない)、こういう話は身の回りで聞くことがある。

    この手の話は仏教の教義柄、対外的には公言されないけども、お寺の世界なら、このエピソードは実話でもおかしくないくらい有り得る話。

    2021/02/26/10:11
  • 1番上のコメント主様へ。
    お坊さんが、このような話を読まれている事に少し驚きました。お読み頂いてありがとうございます。
    七面山が日蓮宗というのも、書いた私自身、知りませんでした。大変勉強になりました。
    先日、宗教は違うのですが、加持祈祷に救われました。
    神や、仏につかえる方々には感謝や尊敬の意があります。
    この場を借りて、お礼申し上げます。

    する夫

    2021/02/26/10:29

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