僧伽(サンガ)
投稿者:四川獅門 (33)
2人がアパートに着いたのは14時頃だった。
紀子さんは新一君の腕に湿布を貼って、ベッドで休ませた。
5分も経たないうちに、新一君はすやすやと寝息を立てていた。
緊張の糸が切れた紀子さんは、ソファに体を沈めた。
いつの間にか、紀子さんは眠ってしまっていた。
唐突な着信音で目を覚ます。
小林先生だ。
「もしもし、今日はご迷惑おかけして」
『いえ、私の指導力不足で、申し訳ないです。新一君の様子はどうでしょうか』
「軽い打撲で、湿布を貼って寝ています。もうすっかり元気で、月曜日には学校へ行かせますのでよろしくお願いします」
『 分かりました。本当に良かったです。それと━━』
『新一君が、言ってたミヤノ ユキちゃんの事なんですが』
「はい」
『全学年調べたのですが、該当する生徒がいなかったので、また新一君に話を聞いてみて下さい』
「あ……はい。分かりました」
『では、失礼します』
ミヤノ ユキ 。その名前を聞いて、不安が込み上げた。
新一君の様子を見に行く。
新一君がいない。
慌てて名前を呼ぶが、返事が無い。
ふと、テーブルの上の書置きに気づく。
[あそびにいきます。しんいち]
時刻は既に17時を過ぎていた。
紀子さんは家を飛び出した。
近所の公園を探すも見つからない。紀子さんは新一君の通学路を歩き始めた。
20m程先に踏切がある。
紀子さんはその踏切の向こう側の小さな人影に気づいた。
息子と、茶色のワンピースを着た女の子。
ミヤノ ユキ。 その名前が頭をよぎる。
七面山ということは日蓮宗か。
私も坊さんやっておるけども(日蓮宗ではない)、こういう話は身の回りで聞くことがある。
この手の話は仏教の教義柄、対外的には公言されないけども、お寺の世界なら、このエピソードは実話でもおかしくないくらい有り得る話。
1番上のコメント主様へ。
お坊さんが、このような話を読まれている事に少し驚きました。お読み頂いてありがとうございます。
七面山が日蓮宗というのも、書いた私自身、知りませんでした。大変勉強になりました。
先日、宗教は違うのですが、加持祈祷に救われました。
神や、仏につかえる方々には感謝や尊敬の意があります。
この場を借りて、お礼申し上げます。
する夫