おやつの時間
投稿者:ぴ (414)
私はその後、母に聞かれて誰がそこにいたのかを正直に話しました。
もともと怖がりな母はそれを聞いて青ざめていたし、一緒に犯人を見つけようとあんなに息巻いていた姉も私の話を聞いて、かなり怯えているようでした。
私の母には足がない子供の知り合いはいなかったらしいです。
私や姉にも思い当たる知り合いはいなくて、だからあの子がどこの誰だったのかはさっぱり分かりません。
ただおいしそうなお菓子のにおいに釣られて、近づいてきただけかもしれません。
あの日必死で逃げていきましたし、私に腕を掴まれて引きずられたのがよっぽど怖かったのか、片足のない女の子はそれ以来姿を現さなくなりました。
大人になっても、あのときよくあんなことができたなと、自分の度胸にびっくりします。
まあ大人になって冷静になった今だったら、怖くて同じようにはできなかったでしょうけどね。
基本的に子供のころの記憶はあまり覚えていない私ですが、食べ物の恨みがよっぽど強かったのか、足を引きずる女の子のインパクトがよほど強かったのか、あの日の出来事は鮮明に覚えています。
あれから手作りのお菓子を横取りされることはなくなったけど、母がいうにはたまに瓶に詰めた飴や戸棚に隠したチョコが少しだけ無くなっていたことがあったそうです。
そしてその度に、母は私が見た床を這う片足のない女の子を想像して、怖がっていたみたいです。
あの子が本当に危険な幽霊だったら、私が腕を掴んで引きずりだしたことを根に持って、襲いかかってきたり、憑りつかれたりしたかもしれません。
偶然にも気弱な幽霊で良かったなと思っています。
そしてこのような経験があり、視えたからってすぐに手出しするのは辞めようと思いました。
私はたま~に波長が合うと視える体質のようなので、変なものを見てもすぐに手を出さず、見て見ぬふりをしようと思うきっかけになりました。
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