某芸人さんの死の不思議_加筆修正版

ある日の夜、バイクで都内某所を走っていたときのことです。
大きな交差点を右折するため、交差点のほぼ中央付近まで
バイクを進めて信号待ちで止まっておりました。

ここの交差点は大きな大学病院が目の前にあるのですが、
なぜか交通事故も多く、ベンツが燃えていたこともありますし、
実はかく言うボクもタクシーと接触して跳ね飛ばされたことがある
嫌な思い出のある交差点でもあります。

と、そんな交差点に、突然どこからともなく
「パッチン　パッチン」と音が聞こえてきました。

「ん？なんだ？パッチンパッチンって、ポールＭ師匠でもいるのか？」

と独り言を言いながら周囲を見回すと、なんのことはない。
大学病院の対面にあるパスタ屋の2階から、ハイヒールを履いた女が
パッチンパッチンと靴音を鳴らして階段を降りてくるところでした。
「なんだよ、靴音かよ」と思ったときに、信号が青になったので
ボクはバイクを出しました。

・・・なんとなく心に引っかかるものはありました。
だって、片側三車線の大きな道路の真ん中あたりにバイクで立ち、
左右は車がバンバン走り、自分はというとエンジンをかけたまま、
さらにヘルメットをかぶっているのです。そのボクの耳に
ハイヒールの足音があんなにハッキリ大きく聞こえるものなんだろうか？

と、モヤモヤしたものが湧き上がっていたのです。

それから数日後のことです。指パッチンで人気だったポールＭ師匠が
自宅マンションから飛び降りたのは。

・・・・・・・・・・・

数年後。

会社で仕事をしている時に、疲れたせいもあって
「ア～～ンアやんなっちゃったぁ～」
なんて懐かしいフレーズを口ずさんでいました。
他意はありません。軽い冗談を口ずさんだだけです。
普段そんなことは言わないのですが・・・。