狩猟解体_加筆修正版
投稿者:kana (210)
オレはこの地でもうずいぶん長い間ハンターをしている。
最近ではこの地も過疎化が進んできているせいか、
イノシシが里まで降りてくることが増え、食害を受ける農家からの依頼もあって
イノシシ狩りをすることが多くなった。
イノシシ狩りはなかなか骨が折れる。
なんせ相手は巨体だし、捕まえた後の解体も一苦労。
国の統計によると、せっかく捕獲しても、その場で埋めてしまう埋設処理が
約8割にも達するという。ゴミとして焼却処理する場合もある。
最近は「ジビエ」なんてもてはやされて、食肉流通すればイイなんて思う人も
多いと思うが、そう簡単にはいかない事情もある。
実際、平成26年11月に厚生労働省から「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」が出され、食品衛生法にのっとってジビエは流通することになったのだが、
なんと狩猟された1割程度しか食用として流通していないのが現状だ。
狩猟を行うハンターたちからすれば、ジビエ肉にして商売するのは
なかなかハードルが高い部分もある。山に入って猟をして、
うまく獲物をゲットできたとしても、そこから条例基準を満たした
「食肉処理施設」に数時間のうちに持ち込まなければならず、
腹に弾があたったものも売り物にはならない。
いやはや、もったいない事この上ないとは思うが、今やこの業界はほとんどが老人ばかり。
致し方ない面はある。
その点ではオレらはまだ恵まれている。
一緒に山に入る仲間もいるし、ウチにはイノシシ解体のための設備もある。
実は今、そのイノシシの解体の真っ最中である。
ドラム缶を改良して作った大鍋に70度ほどの湯を沸かし、そこにイノシシを漬ける。
こうすることで、イノシシの硬い毛がこそぎ取りやすくなる。
ついでにびっしりとまとわりついているマダニも殺せる。
最近のマダニは死に至る伝染病を持っていることもあって要注意だ。
細かい剛毛はバーナーの火を浴びせて焼く。
焼いたら一通りタワシでこすって水洗いしてやる。
こうなるともうイノシシというより豚のような外見で、
肌の色なんて人間と見分けがつかない。
何やってんすか!?
ほぎゃあああぁーーッ!!Σ(゚Д゚)
まぁ、夫婦喧嘩とかすると、周りが見えなくなって頭真っ白になっちゃうときとかあるよね。
五等分の花嫁とはこれのことか