大将、例のやつを一つ
投稿者:ねこじろう (147)
俺は緊張しながら中を覗いた。
ひんやりとした空気が頬をくすぐる。
外気とはかけ離れて冷たいことから、とこかに空調の設備があるのだろう。
中に入るとすぐに、透明の分厚い透明カーテンがぶら下がっている。
頭上の裸電球がジリジリと音を響かせながら、怪しげなオレンジ色の光を放っていた。
俺はなぜだか心臓の鼓動を感じながら、ゆっくり隙間から中を覗いてみた。
途端にさっきよりもさらに冷たい冷気が顔を直撃し、同時に生臭い匂いが鼻をつく。
カーテンのすぐ向こうには理科室の実験台のような広い作業台があり、その上には白い臓物とか赤い肉が入り混ざった一抱えの肉塊が一つあった。
その横には大きな肉切り包丁が一つ、無造作に置かれている。
そして何より目を引いたのは、奥の壁にある大きな二つの肉塊だった。
それらは金属のフックでぶら下げられている。
─牛だろうか、豚だろうか、、、
強い冷気のせいで部屋のあちこちに白い空気が漂っており、はっきりとは見えない。
俺は目を凝らす。
壁にぶら下がった血まみれの二つの大きな肉塊はどちらもが首から上がなく腕も無くて、あばら骨が浮いた胸は中心から切り裂かれていているが、中にあるはずの臓物は無く空っぽだ。
そして腹部から下はきれいに切断されていた。
すると、
コトン
目の前にある作業台から何かが落ちた音がしたので、咄嗟に俺は床に視線を移す。
白い床の上に転がる小さな銀色に光るもの。
それは多分ピンクのハートの細工をあしらった指輪。
あれは確か、、、
じっと見ていよいよそれが何か分かった瞬間、ゾクリと背筋に冷たい何かが走る。
すぐにドアを閉めると、急いで店に戻った。
席に戻った俺は、まだ物足りないという後輩の言葉も聞かず、さっさと会計を済ませると店を出た。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
それから程なくしてあの店の大将は逮捕され、店は閉店した。
【了】
大体途中から人肉なのかとわかったけどわかったけども…怖かった!笑笑
大将、タヒ刑すね。