エアー家庭教師
投稿者:ねこじろう (147)
長編
2022/11/02
15:27
9,457view
俺が大学受験のときに使ったものだ。
どうせ使わないのだから、何でもいいだろう。
それからベッドの端に座ると、バッグからコミックを出し読み始めた。
こうでもしないと間が持たない。
最初の異変は、それから数分後に起こった。
─ギ、、、
金属の軋むような音が微かに聞こえた。
俺は顔を上げ辺りを見渡す。
特に異常はない。
再びコミックを読みだした。
すると、
─ギ、、、
同じ音がまた聞こえる。
ふと窓際にある学習机の前にある椅子を見て俺は違和感を感じた。
最初見た時、確か机と椅子には50センチほどの隙間があったと思うのだが、いつの間にか1メートルほどになっている。
─そうだ、さっきの音は椅子の背もたれが鳴る音、、、
立ち上がり、ゆっくり机に近づいた途端パッと背中が粟立った。
─そんな、バカな!
閉じられていたはずの問題集が、きちんと開かれている。
「ち、千尋ちゃん、いるのかい」
椅子に向かって恐々尋ねてみる。
すると突然、机の上の問題集がばさりと床に落ちた。
「うわ!」
俺は思わず声を出し、後退りした
それからしばらく床に落ちた問題集を凝視した後、震える手を伸ばし床の上から取ると、
「ごめん、次はちゃんとしたものを持ってくるね」
と言ってバッグの中に戻した。
数日後俺は大学近くにある本屋に寄り、高校受験用の問題集を数冊買った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
8月の第2土曜日 午後5時。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 17票
怖い。。虚言癖というか旦那さんが可笑しかったんですね。
家庭教師募集のあたりから、話のなかにひきこまれていった。文章うまいですね。