霊感の強すぎる友人
投稿者:キョンシーズ (11)
それが人目でこの世のものじゃない事はすぐに分かりました。
そしてその影はユラユラと横に揺れながら少しずつ移動し、スッと消えました。
影が消えたのと同時にベッドの揺れも無くなり、安堵していると
バーン!とものすごい音を立てて、次々とテレビや家具が倒れ出しました。
壁に掛けてあったカレンダーやポスターも全て床に散らばり、部屋の中は一瞬で
地震でも起きたかの様に荒れ果てました。
何が起きたかさっぱり理解出来ず、
ベッドの上で必死に彼女を抱きしめながら震えていると
リビングの中央にまたさっきの黒い影が現れました。
そしてまたユラユラと揺れながらゆっくりとこちらに向かってきているのが分かりました。
私は命の危険を感じながらも何とか彼女を守ろうと彼女を強く抱き締めました。
影が段々と近づいてきていよいよもう少しでベッドに到達するかという時、
先ほどまで圏外だったはずの私の携帯が鳴りました。
震える手で電話に出ると何と電話の主はAでした。
「今ヤバい状況だろ?今そっちに向かってんだけど、とりあえず早くスピーカーにしろ!」
と言われ手こずりながらも何とかスピーカーにするとAが電話越しにお経の様な言葉を発しました。
すると黒い影はピタっと止まり、一切動かなくなりました。
黒い影が動きを止めた後もAは電話越しにお経の様な言葉を発し続けました。
10分程その膠着状態が続くと玄関が勢いよく開きAが現れました。
「早く彼女連れて外に出ろ!急げ!」
突然の出来事に状況がイマイチ理解出来ませんでしたが、
言われた通り彼女を抱えて部屋の外まで猛ダッシュしました。
私は冷や汗が止まらず、心臓も爆発しそうな程激しく鼓動していましたが
Aのおかげで何とか部屋の外に逃げられ安堵しました。
Aの身を案じながらも怖くて部屋の中の様子を見る事も出来ず、
目を覚まさない彼女を必死に抱きしめ、Aの事を待ちました。
すると数分後Aが部屋から現れ、
「はぁーしんどかった。もう大丈夫だぞ。」
その瞬間私は一気に全身の力が抜け、危うく彼女を落としそうになりながらも
「本当にありがとう。マジでありがとう。」
とお礼を言い、Aと一緒に部屋の中に戻りました。
霊感が強い云々の話では無いくらい凄い友達ですね。
こんなに頼りになる友達大事にして下さい。
一生分の、借りつくっちゃいましたね。