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不思議体験

ぴさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

カエルの化身
長編 2022/10/18 13:55 4,713view
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でも私は彼を助けた記憶がありません。

そのまま3人は小さな明かりの中ずっと話していました。

そしてその影が変なんです。

人の影ではなく、もっとずんぐりむっくりした影が3つありました。

私は怖くなってきて、音を立てずにそうっと寝ていた部屋に戻って布団に入ると、気づいたら朝を迎えていました。

翌日昼過ぎまでみんなで他愛もない話をし、車で彼と帰りました。

その帰りに私は彼の両親に手土産をもらったのです。

それは風呂敷に入ったタッパーで、私はお漬物か何かだと思って喜んで受け取りました。

田舎のおばあちゃんを思い出し、とても心温かい気持ちになりました。

だけども帰り道、車で送ってもらう途中、彼のほうはちょっと落ち込んでいるように見えます。

私は彼を元気づけるために何か話題を見つけようとして、思いついたまま昨夜の話をしてしまったのです。

私が「そういえば、私ってあなたを助けたことあった?」と聞きました。

本当についうっかり出てしまった余計な一言で、昨日の夜盗み聞きしてしまったことがバレてしまったようでした。

彼はとても驚いてこっちを見て、しばらく車内がシンと静かになりました。

私は家に辿り着くまでの道中がものすごく長く感じます。

自分から盗み聞きをバラしてしまった罪悪感で、すごく後悔しました。

私は話を変えようと思って、思わずご両親からもらった手土産のことを思い出したのです。

そして一緒にそれをつまもうとそのタッパーを開けてしまいました。

開けた瞬間にぞわっとしました。

だってタッパーの中にはお漬物なんかじゃなく、びっしり詰まったうじゃうじゃした虫が入っていたからです。

私は腕にびっしり鳥肌を立てて、大きな悲鳴を上げました。

その拍子にタッパーを車内でひっくり返しました。

虫は生きていたみたいで、タッパーから出てうごめき始めたのです。

私はその様子を見て、益々鳥肌が止まらなくなりました。

私が隣でギャーギャー悲鳴をあげているのに、彼はまったく慌てません。

ただ少し寂しそうに見えました。

途中トイレ休憩できるところで、虫を車から外に追い出して、ほっとしたところを彼はいつも通り私を家まで送ってくれました。

最後に「ごめんね」と言われたこと、すごく印象深いです。

なんだか寂しそうにそう言われて、彼は私を車から降ろして去っていきました。

その日から彼とは連絡が取りづらくなり、私もあの日の気まずさからこちらから会いたいと言い出せず、それから次第に連絡を取らなくなりました。

3/4
コメント(4)
  • 切ないです。気を落とさず新しい彼氏を見つけてください。

    2022/10/18/21:23
  • おとぎ話みたいで引き込まれました。
    結婚してたらどうなっていたのか・・・

    2022/10/19/02:15
  • 彼は、きっと下戸だね。商社マンも変わったな。

    2022/10/19/16:59
  • 寂しそうにごめんはきつい、感動

    2022/10/27/17:54

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