雨の日だけ会える友達
投稿者:ぴ (414)
それまでずっと女の子だと思っていたので、男の子だと気づいてびっくりしてしまいました。
ソウタの住んでいる家は山の奥らしいです。
私が「どこから来てるの?」と聞くと、ソウタは「あそこ」と山の頂上あたりを指さすのです。
私はそこにソウタの家があるのだと思いました。
あまりに遠すぎるので、きっと途中までは車で来ているのだと思っていました。
二人で小雨の中一緒に遊んで、今度は大雨になっても遊び続けました。
私が「くしゅん」とくしゃみをするとソウタが「大丈夫?」と聞いてくれて、とても優しかったです。
こうして、私とソウタは雨の日だけ公園で一緒に遊ぶようになりました。
なぜか分からないけれど、いつもソウタが現れるのは雨の日なのです。
それ以外はいつどの時間に遊んでいても、ソウタは現れません。
私は雨の日が楽しみになり、いつしかいつもレインコートを持ち歩くようになりました。
ソウタはレインコートなんてもの持っていなかったけど、いつもすごく元気いっぱいで、雨に濡れてもぜんぜん寒そうじゃなかったです。
そんなあるとき、雨が降り始めたのを窓から見て、私はレインコートを羽織って公園に行こうとしました。
そしたら運悪く母親がパートから帰ってきて、私を引き留めたのです。
どこに行くの?と聞くので、正直に公園に行くといいました。
そしたらなぜか母が「雨が降っているのにやめなさい」と止めるのです。
私はソウタとせっかく会える日なのにとすごくムスッとしてしまいました。
最近雨が降っていなかったので、ソウタとぜんぜん会えませんでした。
私と母はやがて喧嘩になり、母に「恥ずかしいから雨の日に公園で遊ばないで!」と言われたのです。
母も売り言葉に買い言葉でつい言ってしまったのだと思います。
でも私はその言葉にすごく傷ついてしまって、「うるさい」と半泣きで、雨の降る外に飛び出していったのです。
公園にやってくると、絶対にソウタがいると思っていました。
それなのにその日に限ってどこにもいなくて、悲しさが溢れだしそうになりました。
この悲しい気持ちや話を聞いてほしいと思ったけど、そこには誰もいないのです。
私はあまりに悲しくて、この気持ちを誰かに共有してほしくて、ソウタがいつもやってくる山道を登り始めたのです。
私が家を出たのは夕方の4時くらいで、気づけば辺りは暗くなっていました。
山道なので当然人も歩いていなくて、雨はどんどん強くなってきます。
最初は母への怒りで勢いよく山を登り始めたけど、だんだん足取りが重くなっていきました。
途中で会えると思ったのに、ソウタは全然見つかりません。
私は少しずつ心細くなってきて、来た道を引き返そうかと悩みました。
山の神様優しい