雨の日だけ会える友達
投稿者:ぴ (414)
そんな時に、近くで「うぉーん」という野犬かなにかの遠吠えみたいな声が聞こえたのです。
私はびくっとして身を震わせました。
怖くなって「ソウター」と名前を呼びました。
返事はありません。
藪から「ガサガサ」と音がして、再度びくっとしました。
今度は小さな声で「おかあさーん」と呼びました。
だけど、私から家を飛び出したのです。
行先も告げてないのに母が迎えに来るわけがなかったです。
私は怖くなって山道の真ん中でしゃがみこみました。
これ以上歩けないと思いました。
雨も強くなってきて、体も冷たいです。
このままここで死ぬかもと思いました。
そしたら近くの茂みがガサガサ揺れました。
すごく警戒して震えながらそっちを見ていたら、ひょっこりとあのソウタが顔を出したのです。
そして私を見て驚きました。
まさかこんなところにいるとは思っていなかったのだと思います。
ソウタに会えて、私は安堵から涙がだらだら出てきました。
わんわん泣き出す私をソウタは大人さながらに慰めてくれました。
そして濡れてべちょべちょになった私にソウタは寄り添ってくれたのです。
今日の母との悲しかった話も全部黙って聞いてくれました。
おかげで私は心が落ち着きました。
雨がやみそうになってきて、ソウタは「もうしばらく会えないかも」と言いました。
私が嫌だと言っても、悲しそうに見返すだけでした。
「いつ会えるの?」と聞いたけど、返事はしてくれませんでした。
そして、話疲れてその場で私はソウタにもたれかかって眠ってしまったのです。
起きたら私は病院にいました。
隣に母がいて、目が真っ赤に腫れていました。
私は公園で一人で倒れているのを発見されたらしいです。
体が冷たくなっていて、もう少し発見するのが遅かったら危なかったと言われたそうです。
ソウタとはそれっきり、二度と会っていません。
山の神様優しい