振り返ってはいけないトンネル

私の地元近くに古くから伝えられている迷信があります。

地元はかなりの田舎で、周辺には海沿いの道や山道が多数存在しています。

郊外から地元へ行く際はこのどちらかを通っていかねばならないのですが、山道に近道があり、大抵はそこを利用します。

しかしこの近道で決して避けて通れないのが、いわくつきのトンネルです。

小さい頃から、このトンネルを通り切った後には「絶対に振り返ってはいけない」と教えられてきました。

もちろん、バックミラーを見ることもです。

トンネルを抜け切るとすぐに曲道になる為、曲がった後にはバックミラーにも映りません。私も一度も振り返ったことはありません。

私の実家は小さいなホテルを経営しているのですが、ある日その日宿泊されるお客様から、「変なものをみてしまった」と声がかかりました。

聞いてみると、あのトンネルを通った際に変な違和感があり振り返ってしまったということです。その日は大雨だったのですが、トンネルの脇に女性らしき人物が立っていたと。もちろん観光客の方なので、その迷信は知る由もなく振り返ってしまい見てしまったという事なのですが、霊感が強い方なので特に極度に怖がることもなく、いつものことのようにお話されていました。

しかし、翌日。その日は観光でドライブしていた際に、急にハンドルが効かなくなってしまったそうです。

また何か違和感を感じたそうですが、それ以上に両手が痛いと感じパッとハンドルを握っている手を見ると、

自分の両腕を”後ろにいる誰か”の両手が押さえつけていたそうです。その手は女性のような細い手だったと。

昨日感じた違和感と同じものだと感じたそのお客様は、トンネルの脇に立っていた女性だとすぐ分かったそうです。

幸い、事故にならずよかったのですが、夜に戻られた際にそのお話されており、お客様の両腕は少し赤くなっていました。家族一同震え上がったのを覚えています。

（憑いてきていると困るので、塩をかけまくりました）

私自身はあとから知ったのですが、実はあのトンネルは過去にかの有名な霊媒師さんも訪れ、テレビの力でトンネルの一部の壁を掘り起こした事もあるそうです。

そこには人骨がでてきたという記録も残っており、大昔に戦争で使えなくなった捕虜を生き埋めにしてできたトンネルであったことが分かりました。

霊的には複数人いるはずなので、あの女性は関係があるのかは分かりません。

また、トンネルの構造上、トンネルを抜けた後にすぐ曲がり角があるために、スピードを出しすぎた車の死亡事故なども多発しているエリアです。

もちろん今でも存在している為、地元に帰る際は今でも振り返ることができません。。