異形の参拝者
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これはまずい…急いで逃げないと…
そう思った時だった。女が突然ふりかえった。
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!
女は地獄の底から響いて来るような恐ろしい唸り声を上げた。
ひぃぃいぃぃぃぃ!!
俺は恐怖のあまり叫び声を挙げて全力で走った。なんども雪で滑りそうになりながら、全力で走った。後ろは1度たりとも振り返らない。背中からはあの女の絶叫が聞こえてくる。
俺は境内から出ると、急いで家まで走った。なんども足を滑らせ転びながらも、ただひたすらに走り続けた。
ようやく、俺の住むアパートに到着した。急いで1階の自分の部屋に駆け込み、鍵をかける。そのまま部屋の隅へ走りカーテンを全て閉めた。
ハァッ…ハァッ…ハァッッ…
俺は息が上がっていた。今頃になって、全身を痛みが襲ってきた。オマケに買った食材も全て放り出していた。だが、絶対に外には出たくなかった。また、あの恐ろしい女に会うことなど考えたくもなかったからだ。
俺は静寂が怖かった。だからテレビを見ることにした。俺はリモコンのボタンを押す。テレビがパチッ…とつきバラエティ番組のスタジオが画面に映し出される。しかし、音声が流れてこない。俺は音量を上げた。しかしザーッ…という音しか聞こえない。やがて、その音に混じって、ガラン、ガランとあの鈴の音が聞こえてきた。俺は戦慄した。そして一瞬硬直したが、すぐにテレビを消そうとリモコンのボタンを連打する。だが、どういうわけかテレビは消えない。
クソっ!
俺は力任せにコンセントを引き抜いた。バチッ…という嫌な音がして、テレビは何も映し出さなくなくなった。そして、俺の荒い息と時計の秒針がカチカチと動く音以外は聞こえなくなった。俺は、はぁー…とため息を着いた。その瞬間、耳元であいつの声が聞こえた。
「許゛さ゛な゛い゛か゛ら゛!!」
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