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心霊

ぴさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

後部座席の女の子
長編 2022/09/14 21:59 3,227view

私は友達5人で一泊旅行に出かけることになり、丁度使わない車がある別の友達に車を借りました。

相手は私たち庶民とは違ってお金持ちの子だったので、気前よく車を貸してくれました。

当日車を借りるために友達の家まで行くと、なんだか買ったばかりみたいな新品の車で、こんな車を借りてもいいのかとすごく戸惑いました。

友達は「ガソリン満タンで返してくれたらそれでいいから」と旅行に行く私たちを気持ちよく送り出してくれたのです。

「お土産楽しみにしてて」と私たちは車を貸してくれた友達にめいっぱい手を振り、わいわいしながら出かけました。

楽しい旅行になるとそのときは信じて疑わなかったです。

私たちは熱海の温泉旅館に泊まって、一泊して観光をして帰ってくる予定でした。

けれど、車で出かけて一時間も経たない内に、一番後ろの席に座っていたよりちゃんが「ねえねえ、なんか変な声しない?」といきなり言い出しました。

よりちゃんが言うには子供のすすり泣く声みたいなものが聞こえてくるらしいのです。

時期は夏だったし、もともと怪談話が好きだったよりちゃんが私たちを怖がらそうとしているんだとばかり思っていました。

そのときは「またまたぁ!」とツッコミを入れて私たちは気にしていなかったのですが、次第によりちゃんの様子がおかしくなりました。

冷房はさほど高くはしていなかったのに、「寒い・・・」と言い出したり、車酔いをしたのか「気分が悪い」と言ったりして、だんだん顔色が悪くなっていったのです。

いつもなら真っ先に場を盛り上げるはずのよりちゃんが急に具合を悪くして、ワイワイ楽しめる雰囲気ではなくなりました。

みんな心配になって、一度休憩をとって外の空気を吸ってくることにしたのです。

私たちは途中で高速を降りて、サービスエリアに止まりました。

外に出てしばらくしたらなんだかよりちゃんの顔色も良くなっていき、私たちは一安心したのです。

顔色はよくなったもののよりちゃんが心配なので、席を交代しようという話になり、運転手である私と助手席の佳奈子はそのままで、後ろの3人がローテーションで変わりました。

そして一番後ろの席に今度はつーちゃんが座ることになったのです。

つーちゃんは最初冗談を言ったり、鼻歌を歌ったり元気そうでしたが、次第に会話に入ってこなくなり、だんだん静かになっていきました。

そして運転席でミラーをチェックしていた私は頻繁に後ろをちらちら伺っているつーちゃんの様子が気にかかり、どうかしたのか聞いてみたのです。

そしたらつーちゃんは真っ青な顔で、「信じられないと思うけど、後ろから女の子が見てる」って言うのです。

その話を詳しく聞いて、私たちはぞっとしました。

そこは高速で、女の子がガラスにへばりつくなんて物理的に無理な場所でした。

だけど、つーちゃんの顔は冗談を話しているようには見えなくて、様子がおかしかったのです。

まるでさきほどまでのよりちゃんみたいに顔色が悪くなっていて、私たちはまたトイレ休憩を取ることにしたのです。

このように怪奇現象が続くと、ちょっと雰囲気が暗くなりました。

そしてだれも一番後ろの後部座席に座りたがりません。

私はその場をこれ以上悪い雰囲気にしたくなかったので、「私運転で疲れたからちょっと一番後ろで眠っていい?」と自分から後部座席を陣取り、寝転んだのです。

最初は寝たふりのつもりでしたが、前日は旅行の計画を作っていてあまり眠れなかった私は、気づいたら本当に眠っていました。

しばらくして私はしくしく泣く幼い子供の声で目が覚めたのです。

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