深夜の上映会
投稿者:ねこじろう (147)
これはネットでも有名な、とある廃トンネルに深夜、四人の若者が入って行くというものだった。
トンネルの入口に車を停めて、四人は各々片手に携帯、片手に懐中電灯を携えて歩きだした。
侵入禁止の柵を乗り越えて中に入る。
先頭に二人、その後ろに二人が続き、進んでいく。
そこで突然アケミがキャッ!と叫んだ
ユウジとユカが、またかよという白けた感じで彼女を見る。
それから場面はどんどん展開していって、いよいよトンネルの天井に苦しげな男の顔が一瞬見えたとき、ユカが悲鳴を上げて身体を縮めていた。
DVD が終わった後は皆で感想とかを互いに言い合っていた。
俺はせっかくの雰囲気を壊したくなくて、テレビと照明は消したままにしていた。
テレビはDVD が終了したので、真っ暗になっていたんだけど、そこからの若干の光で、俺たち周辺への良い間接照明のようになっていたようだ。
「俺はやっぱり始めの方の、バスタブの排水口にあった女の首が一番怖かったなあ」
ユウジが少し興奮した様子で言うと、隣のユカが、
「いや私は、最後のトンネルが怖かった〰️」
と、身体を震わせる。
ひとしきり盛り上がった後に、ユウジがアケミの方を見ながら言った。
「ところでアケミさあ、お前、時々変なところで、悲鳴上げてたけど、あれって、何か見えてたの?」
いきなり突っ込まれたアケミは少し戸惑った様子を見せながらも、口を開いた。
「いや、私の見間違いかもしれないけど、何度かおかしなのが視界に入ったんだ」
「おかしなの?」
俺が尋ねる。
「うん、、、だいたい画面右上の方だったんだけど、女の人の顔」
「うわ、こわ!」
隣に座るユカが声を出す。
「でしょ、、それが不思議なことに、いつも同じような顔で、、」
「どんな、どんな?」
ユカが興味津々に尋ねる
「どれも一瞬だったから、よく分からなかったんだけど、黒髪の色白で結構若かったと思う。
でも何か物言いたげな顔だった」
昭和風名前設定に、作者さんの高齢者感が出ていて面白いです。
もし、若い方だったらごめんなさい。