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fu-sukoさんによる都市伝説にまつわる怖い話の投稿です

家族の休日
短編 2022/09/01 01:23 3,030view
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 その家族は休日を使って車で都会に遊びに行っていた。午前から昼過ぎにかけて観光を楽しんだのち、夕方に出て夜には帰宅する予定だったが、帰り道に大きな渋滞に掴まってしまった。ある程度進んだところで近道を見つけたのか、家族を乗せた車は高速から一般道に降りていった・・・

 それから次第に母親は助手席で愚痴をこぼし始め、子供たちはお腹がすいたと繰り返し訴えてくる。本来ならこの時間には家の近くで夕食をとっているはずだった。ならば、このまま道中で夕食を済ませればいい、そう思いついた父親はこう言った。「近くのレストランに入ろうか。それでいいだろう?」

 辺りが真っ暗な中、ぽつりと灯りのともったファミレスがある。家族は店の下の駐車場に車を停め、階段を上がって店に入っていった。休日の夜だというのに中はガラガラで物寂しい雰囲気を漂わせている。「あちらのテーブルにお願いします」。イスに夫婦で腰掛け、ソファに子供たちを座らせる。「ハイ、選んで」と母親が子供たちにメニューを渡す。子供たちはピザに決めたようだ。全員の注文が決まったところで、オーダーのボタンを押した。しかし、一向に店員が来ない。店はガラガラなのだから忙しいという事はありえないだろう。母親が「すいません」と声をかけても来ない。「もういい、コンビニで夕飯を買おう」と言って父親が立ち上がると、後ろから店員の声がかかる。「遅くなり申し訳ございません」。「ピザ2つとスパゲッティ1つサラダ1つ」と父親は眠い眼をこすり店員の顔も見ずに言った。「少々お待ちください」。しかし、それから待てど暮らせど料理が来ない。渋滞の疲れもあり、家族はいつの間にか座ったまま眠りに落ちていた。

 それからどれほど時間が経っただろうか。「お待たせいたしました」という声で父親は眠りから覚めた。「ようやく食べられるよ」。そこで彼は気づいた。店に入ってから、店員の声こそ聞いてるが、その姿を一度もはっきりと見てないことに。はっと辺りを見回すが、妻と子供の姿はなく、靴と衣服だけが無残に散らばっていた。「いただきまあす」・・・

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