呪われた校歌の2番
投稿者:四万円 (1)
校歌の2番を歌ってはいけない。
私の通っていた中学校にはそんなルールがあった。もちろん生徒手帳や学級プリントには記載されていない、生徒同士で共有した、明文化されていないルールだ。
とにかく校歌の2番を歌ってはいけない。入学する前から、生徒は先に中学校に行った先輩にそう伝えられる。半信半疑で入学した新入生は、体育館に入った瞬間不安に襲われる。時計の下に設置された木彫りの歌詞は、1番と3番だけで、何故か2番は飛ばされているからだ。その後入学式で歌われる校歌も、1番と3番で、2番は意図的に飛ばされる。2番は歌ってはいけない。そんな変なルールを、先生たちも守っているのだ。そんな風に思う。
2番を歌うとどうなるのか。私は二つの事例を知っている。一つは、私が入学する二年程前の全校集会で起こった。そこでは、2番を歌ってはいけないという悪習を打破するためか、1番から3番まで通して歌ったのだ。すると、生徒の一人が直後に失神した。その生徒はすぐに保健室に運ばれ、貧血という診断が下された。その日は、他にも複数の生徒が体調不良を訴え早退したり保健室へ行った。それ以来、集会で歌うことは無くなったという。
二つ目は、私自身も体験した。中学二年の春、今年からやってきた音楽教師が、この2番を歌ってはいけないというルールに拒否感を示したのだ。「そんな迷信はありません」先生はヒステリックにそう宣言し、嫌がる私たちに無理やり1番、2番、3番を歌わせた。
2番の歌詞はプリントされて配られた。受け取るのを嫌がる生徒もいたが、最終的に、嫌々ながら全員が受け取った。2番は不思議な歌詞だった。1番と3番には学校名が歌詞に含まれているのに、2番にはない。1番が地域の自然の豊かさを歌い、3番が受け継がれてきた文化を歌っているのに、2番は「御寺の跡」とか「礎石」とか何を歌っているのかよくわからない。私たちは無理やりだが、2番の箇所を歌っているとき、私は酷い緊張を覚え、音楽室が歪んだような気がした。歌い切った時、何も起きなかった。先生も得意そうに「やっぱり迷信でしょう」と笑っていた。
次の授業で、女子生徒が二人早退した。翌日、その女子生徒を含む、七人が欠席した。私たちは呪いだと噂しあった。その後、卒業までに一人が不登校になり、一人が全治半年の大怪我をし、一人が突然転校した。どこまでが校歌の2番のせいなのか、今でも私はわからない。
なんだか気味の悪い話ですね
都市伝説感あって好き