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心霊

kyogokuさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

座敷わらしの正体
短編 2022/08/28 21:36 1,586view
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観光都市として賑わう東北地方のある街のはずれに江戸時代から200年あまり続く旅館があった。
自然豊かな環境の中に静かに佇むその旅館は由緒正しい家柄のお屋敷を改造して建てられたもので、東京からもアクセスがよいことから多くの観光客が訪れていた。

ただ、この旅館の人気が高かった訳はこれだけではなかった。
実はもっと大きな理由があった。

この旅館にはかなりの確率で座敷わらしが出没するというのがその大きな理由だったのである。
座敷わらしにはさまざまな言い伝えがあるが、一般的に言われているのは座敷を走り回る子供の妖怪で、座敷わらしを見た者は幸せになれるというもの。そのため座敷わらしは妖怪でありながら神として扱われている。

この旅館のあった街でその昔、わずか2年の間に1年生から5年生までの男女5人の小学生が行方不明になるという事件が起こった。
この5人の子供は学校も学年も性別もバラバラだったが、唯一の共通点が行方不明になる直前にこの座敷わらしが出没する旅館近くで目撃されているとのことだった。
そのためこの旅館の主人が子供たちの行方不明に何らかを知っていると疑われ、参考人として事情聴取を受けたが、特に何も疑わしい事柄は出て来ず事件は迷宮入りとなった。

あれからすでに30年経ち、当時疑われた旅館の主人も先頃病気で亡くなった。
さらに旅館の跡を継ぐ後継者もいなかったことから旅館は潰されることになったが、解体工事の際に旅館の奥庭にあった土蔵の中から子供のものと見られる5体の白骨死体が見つかったのである。
医学的な証明はすでにできなかったが、状況から30年前に行方不明になった子供たちと推測された。
そのため、今はこの旅館に出没していた座敷わらしは妖怪でも神でもなく、殺人鬼である旅館の主人の魔の手から逃れようと走り回っていた子供たちの霊だったのだと街の噂になっている。

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