タイムカードの時刻
投稿者:ぴ (414)
私は職場で心霊体験をしたことがあります。
臨時で短期間だけ働いていた職場なのですが、働き始めた時からなんだか陰気な雰囲気の職場と思っていました。
それから1週間も立たずに、変な噂を聞きました。
それは何者かに押されるタイムカードの話でした。なんでも昔働いていたバイトの子が仕事帰りに事故にあったらしく、そのまま亡くなってしまいました。
それからその子が事故に合った日のある時間になると、誰もいないのにタイムカードが勝手に押されるらしいのです。
私は最初からその話はたいして信じていませんでした。よくある怪談話だと思って、気にもしていなかったです。
その日は天候が悪くて、家が遠い私は定時前のいつもよりも早めに切り上げさせてもらいました。
仕事が終わってタイムカードを押そうと廊下を歩いていたら、目の前に知らない人が歩いていました。
まったく見たことがない従業員で、私よりも若く見えました。そしてその子が私の目の前でタイムカードを押したのです。
まあ特に気にはせず、自分もタイムカードを押そうとしたら、なぜか自分のタイムカードがすでに押してありました。
多分さっきの人が間違ったんだなと思って、「間違ってますよ」って声をかけたのです。
目の前の人は急にピタッと止まって動かなくなりました。
私がタイムカードを振って、「これ私のカードです」と言いました。
そしたらその子は私をちらっとだけ見て、外扉を開けて出ていきました。
私はちょっとムッとしました。
教えてあげたのに、御礼もなく謝りもせずに帰ってしまったその子の礼儀知らずな態度にムッとしたのです。
むしゃくしゃしましたが、とりあえずタイムカードを押されているので、事務所のほうに直してほしいと声をかけました。
そしたらその事務所の人がタイムカードを二度見して、「ねえ、これ」とこそこそ他の人に話始めたのです。
なんのことか分からず聞いてみたら、噂のときどきあるタイムカードの怪異を教えてくれました。この職場で、だいたい間違えたタイムカードはこの時間なのだそうです。
そして昔、バイトの子が事故をした時刻と同じなことを教えてもらいました。
私が先ほど見た見知らぬ従業員の話をしたら、事務所内がざわざわとざわめきました。
どうやら私は見てしまったらしいです。職場に私よりも若い従業員はいないし、私が話した見知らぬ従業員とバイトの子の姿かたちがそっくりだったらしいです。
私はそれを聞いて、さすがに寒気が止まらなかったです。
霊も「なんか知らない奴おんな。臨時のバイトか?事情も分かっとらんやろから、カード押しといたら。サービスサービス。」だったんじゃないかな?