夢で交わした最後のお別れ
投稿者:りー (118)
短編
2022/08/13
08:14
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私の家では子供の頃猫を飼っていました。
もともと野良猫だったのを妹が連れた来た為家と外を頻繁に行き来する子でした。
逃げてしまう不安は少しありましたが餌や寝る時は戻って来るので自由にさせていました。
その猫は私によく懐いており甘えたい時はよく私の布団にもぐり込んで来ました。
私もその猫が好きでいつも一緒でした。
私が中学に上がった頃です。
夜寝ていたら夢にその猫が出て来ました。
夢の中なので人間の言葉が通じます。
「今日も楽しかったね、明日は何して遊ぶ?」と問いかけると猫は少し寂しそうに「もう遊べないんだ、ごめんね」と言いました。
理由を聞いても答えてくれず不安になりました。
ハッと目を覚ますと猫は私の布団でスヤスヤ眠っていました。
安堵すると共に夢の事が引っかかります。
不安な気持ちで登校し、家に帰った時に猫はいませんでした。
家族に聞いても普段通り外で遊んでご飯の時間には帰って来るだろうと呑気な返答しかありません。
辺りを探しましたがとうとう猫は見つかりませんでした。
後から知った事ですが動物は自分が死ぬ所を見られない様に死期が近づくと自分から群れを離れる習性があるそうです。
あの時見た夢は死期を悟った猫からの最後のお別れだったのでしょう。
それ以降、家の仏壇には猫缶を供え供養しています。
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