別荘の住人
投稿者:ぴ (414)
私の高校時代の部活のチームメイトがとてもお金持ちでした。
確か父親が大きな会社を経営しているらしくて、お城みたいな豪邸に住んでおり、かなりいい生活をしているようでした。
同じ部活だったその友達が夏休みに別荘に行くからと自慢していて、その子に招待されたことをきっかけに私たちはその別荘に行くことになったのです。
集まったのは部活のチームメイト6人でした。本当はもう少し来る予定だったのですが、謎の体調不良が多発して結局当日別荘に行くことになったのは私を含めた6人です。
お金持ちの子の両親は仕事の都合で来られないとのことで、代わりにお金持ちの子の親戚らしき大人が一人付いてきました。
別荘に着いたときはみんなで盛り上がりました。だって見渡す限り緑豊かな広い庭があり、ドラマで見るような大きな洋館が私たちを待っていたのです。
今どきの別荘にしては少し古い感じではありました。でもそこがまた雰囲気があって、興奮しました。
何度かそこでスマホで記念写真を撮って、私たちは館の中に案内されたのです。
館の中には、アンティークな品の数々がありました。本当にどれも高そうな品ばかりで、私たちは触ることすら躊躇していました。
みんなできゃあきゃあ言いながら、いろんなものを観賞して、個々の部屋に案内されたのです。
泊まる部屋も予定より人が減ったことで、個室で泊まれることになり、一人ずつ部屋に案内してもらいました。
私が割り振られた部屋は本当にお姫様でも住んでいるかのように真っ白な部屋でした。
もう部屋を案内された瞬間に私は部屋を気に入り、こんなところで寝泊まりできるなんて夢のようでした。
その日私たちは庭でテニスをしたり、バトミントンをして自然に囲まれた別荘を思いっきり楽しみました。
親戚の人がジュースやアイスを持ってきてくれて、日陰でみんなでわちゃわちゃ話ながら食べて、本当に最高でした。
夜の料理はデリバリーで頼んで、別荘まで持ってきてもらいました。
その時に食べた料理も御馳走で、来られなくなった人が本当に可哀そうでならなかったです。
ただし、そうやって楽しめたのはその初日だけだったのです。
翌日になったら泊まっていた友達の一人の様子がおかしくなっていました。
私の隣の隣の部屋の友達のみさきちゃんが夜中に廊下で女の人を見たというのです。
しかもその女の人の様子がおかしくて、よく見たら鉈のようなものを引きずりながら廊下を歩いていたらしくて、その子はずっと半泣きで怖がっていました。
それを聞いて私たちは「夢でしょ!」なんて最初は笑っていましたが、私はだんだんと笑えなくなりました。
その日の昼頃に、私と一番仲良かったさやという友達が突然嘔吐したのです。
なんの予兆もなく、急に体調を崩して部屋で休むことになりました。
ちょっと心配になった私は、一人で心細いだろうと思ってさやの部屋で一緒についていてあげることにしたのです。
暇つぶしにスマホを弄っていた私ですが、ふと音がするなと思って顔を上げたのです。
さやはベッドでぐっすりと眠っていて起き上がる様子がなかったので、一人でその音の出所を突き止めるために部屋の扉を開けました。
しかし扉を開けるとピタッとその音は止まります。そして気のせいかと思って再び扉を閉めるとまた音が鳴るのです。
音は不規則で「カタン」「カタン」というようなぎこちない音でした。
なんだか気持ちが悪かったです。みさきちゃんが言っていた鉈を持った女の人の話も相まって、急に怖くなりました。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。