いつもいる人
投稿者:ぴ (414)
私が病院の事務員として働いていたときの話です。
私の職場には少々面倒くさい職員がいました。
あからさまに付き合いにくい人というわけではなく、普段は人当たりはいいのです。
ただ人によって態度が全然違う面があり、私はどちらかというとその人に嫌われていました。
だからちょこちょこと嫌味を言われることもあったし、余計な仕事を押し付けられることも多々ありました。
そしてたくさん仕事を押し付けておいて、そのせいで私が失敗するとネチネチ虐めるのです。
この職員が本当に苦手だったのですが、私がその職員を苦手と思っていた本当の理由は「虐められたから」というものではありません。
それ以上に苦手なところがあり、それはその人の後ろにいつもいるからでした。
「いるって何?」て思いますよね。私も誰かから聞いたら、そこに関心が行くと思います。
いるというのは、その職員の後ろにいつも誰かがいるのです。
私はそれがとても怖くて、いつしかその人をしきりに避けてしまっていました。
私が虐められた根本的な理由はそこにあるかもしれません。
私が先にその人を避けてしまったからです。
その人にとっては自分がなぜ新人に避けられているのか、分からなかったと思います。
だけど私は初めてこの職場で働くようになって、真っ先にそれに気が付きました。
その人に後ろにはいつもいる人がいて、私はそれが怖かったです。
それとなるべく目を合わさないためにその人を避けるようになりました。
幼少期からたまにそういうことってあったんです。
本当にたまになんですけど波長が合うと他の人が見えないものをうっかり見てしまうことが。
だから私はなるべく見ても気づかないふりをして関わらないように過ごすことが増えました。
だから病院の事務の仕事なんて本当はやりたくなかったです。
だけど、母の知り合いにどうしてもとお願いされて、転職で困っていた私は育児休暇を取る職員の穴を埋めるために、期間限定で一時的に働くことになりました。
その職場で最初に挨拶したときに、事務員の後ろに別の人がいるのに気づいたのです。
順番に事務員さんが挨拶してくれたのですが、その人は一言もしゃべらずずっとその人の後ろに佇んでいました。
その人が移動すると後ろに人も一緒に移動します。
私はそれを見てぞっとしたものを感じました。
一時的にくっついているのではなく、おそらくずっといるんだと私は思いました。
いつもいる人は常にその人の後ろで、周りをじっと見ていたのです。
その日私はお昼からほぼ同い年くらいの先輩と一緒に、のびのびと働いていました。
午前中とは違って午後からは人がうんと少なくなるので、仕事が楽になります。
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